こんにちは、就職指導室の遠藤です。
今日は、少しまじめにIT業界のトレンドについて言及します。
システムを開発したり運用したりするためには、システムを担当するエンジニアが必要になります。しかし、このエンジニアには、高度な専門知識が必要であるため、各々の一般企業が個別に育成するのは、難しいものがあります。このため、一般的な企業は、外部のシステムベンダーに発注することで、必要となるエンジニアを調達してきました。
先日(10月21日)、日経コンピュータが、システムの調達方法に変革で起きていることを記事にしました。この記事によると、これまで外部のITベンダ任せだったシステムの開発を、社内のシステムエンジニアで開発する動きが強まっているとのことでした。すなわち、システムの内製化の進行です。具体的な社名も掲載されており、セブン&アイホールディングス、ファーストリテイリング、良品化計画、星野リゾート、カインズ、エディオンと名だたる有名な企業の例が掲載されていました。具体的な数字も記載されていて、例えば、セブン&アイホールディングスは、2019年10月にエンジニア専用の採用チームを立ち上げ、既に2021年6月までに約160人のIT人材を中途採用し、最終的には300名超の採用を目指していると紹介していました。
ではなぜ、内製化の動きを強めているのでしょうか? ヒントは、情報処理技術者試験を推進するIPAが、4年ほど前に発表した「IT人材白書2017」にありました。
「IT人材白書2017」では、日本と米国のシステムエンジニアが属する企業を分析していました。米国では、IT企業に属するエンジニアを割合は35%に過ぎず、65%のエンジニアは一般の企業に勤めています。日本は逆です。IT企業に属するエンジニアを割合は72%と多く、一般の企業に勤めるエンジニアは28%にすぎません。そして、米国は、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるような新しい産業を興すことに成功しています。デジタル技術を駆使して新しい産業を興すことは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)そのものです。そして、日本は米国ほど新しい産業を興すことに成功していません。
社内のシステム要員を増強する流れは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現しようとする流れに他なりません。DXの時代は、一般企業の情報システム部門のシステムエンジニアが脚光を浴びる時代になると予測しています。紹介した記事は、それを証明するものだと確信した次第です。
写真は、学生と企業研究を行ったときの板書です。学生とは、企業の特徴を確認しながら、求められるエンジニア像を一緒に考え、語り合っています。