かなり雨が降った後の梅雨の晴れ間。昼前後は晴れという予報でしたが、実際は曇り空。わずかに青空が見える程度なので、なかなか湿度が下がりませんでした。久しぶりに妻女山の陣場平へ。この季節はヤブ蚊が凄いので、長袖はもちろん、虫除けスプレーを念入りに。ネット付きの帽子も。
陣場平。濃緑(こみどり)で鬱蒼としています。貝母は枯れて全て倒れています。そのまま土に還ります。次回の妻女山里山デザイン・プロジェクトでは、帰化植物の除去と陣場平全体の除草を考えています。梅雨明けに除草すると、今まで何年も眠っていた従来の植物が発芽する可能性があるのです。
陣場平の中央にあるクマノミズキ(熊野水木)。この北側の斜面には、ミズキもあります。葉がミズキは互生で、クマノミズキは対生です。葉もやや小さい。このクマノミズキも私が11年前に発見した時には。根本が50センチもあるヤマフジに巻き付かれて、枯れる寸前でした。水分が多い木で、春に大量の水分を吸い上げる時には、溢れ出し、樹液酵母が見られます。
(左)クマノミズキの花。愛らしい花です。(右)結実しているものも。やがて丸く緑色になり、秋には青くなり晩秋には黒紫に。森の小鳥の餌です。小枝はピンクから真っ赤になります。私は森の珊瑚と呼んでいます。
(左)除去すべき帰化植物を探します。これはオオブタクサ。放っておくと高さが3m、茎が5センチにもなります。毎年仲間と除去作業をしているので、ずいぶんと少なくなりましたが、絶滅は困難です。葉の左に小さな昆虫。(右)沼の平湿原で見たヒメギスでした。
(左)陣場平入り口には、オニグルミやヒメグルミの木が多いのですが、これは違いますね。丸いのでシナノグルミでしょうか。9月に拾いに来ます。野生の胡桃は味が濃くて美味です。(右)陣場平下の、前回除草したギャップへ。
(左)センニンソウ(仙人草)。8月末から9月上旬に、香りのいいブライダルブーケの様な純白の花をたくさん咲かせます。漢方薬で毒草。汁に触れると水疱ができたりかぶれることがあります。(右)ガガイモ(鏡芋、鏡芋、芄蘭)。古名をカガミまたはカガミグサといい、古事記には、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)がガガイモの莢(さや)の舟に乗って大国主神(おおくにぬしのかみ)の前に現れたとあります。これも漢方薬ですが毒草です。
(左)山椒の実。もう固くて縮緬山椒にはなりませんが、赤くなると七味唐辛子の材料になります。(右)堂平大塚古墳へ。今は亡き山仲間のKさんが植えた白南天が結実していました。我が家にも白南天と赤南天があり、正月に飾りますが。難転といって縁起木として愛されてきました。 めぼしい昆虫が見られないので、下って林道倉科坂線へ。
ネムノキ(合歓木)の花。樹高10〜15mぐらいになり、花は樹冠で咲くのでなかなかこんな風に近接撮影はできません。長く伸びた線香花火のような紅色の雄しべが美しい花です。花弁は5つで真ん中に雌しべがあります。
ネムノキの名前は、夜になると葉が閉じてしまうことからです。葉全体が茎に付着する部分と小さな葉がそれぞれ付着する部分(葉柄)の基部がふくれていて(葉枕)その細胞内圧力(膨圧)が昼夜で変化するので葉が閉じたり開いたりするのだそうですが、何かの防御機能なのでしょうか。この葉は合歓皮(ごうかんひ)といって漢方薬です。利尿、強壮、鎮痛、腰痛、打ち身、腫れ物、水虫、手荒れ、精神安定などに効くそうです。貝原益軒は「この木を植えると人の怒りを除き、若葉を食べると五臓を安じ、気をやわらげる」と記しています。
(左)ネムノキの根には根粒ができます。根粒バクテリアと共生関係にあるのです。(右)ネムノキの実。マメ科であることが分かります。
「わぎも子が 形身の合歓木(ねぶ)は 花のみに 咲きてけだしく 実にならじかも」大伴家持(巻八-1463)
(あなたからもらった形身の合歓木は、花が咲くばかりで実にはならないかもしれません・・)
(左)オカトラノオ(丘虎の尾)。(右)アリが好む花です。
ヌルデ(白膠木)。ウルシ科なのでまれにかぶれる人もいます。葉軸に翼があるので同定は容易でしょう。生薬名は、塩麩子(えんふし)・塩麩葉(えんふよう)・五倍子(ごばいし)。ヌルデにできる虫こぶ(ゴール)のことを五倍子といいます。これは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシが寄生し、枝の翼に卵を産み付け、それが耳状にふくれたものです。
「足柄の 吾を可鶏山の *かづの木の 吾をかつさねも かづさかずとも」(詠人知らず) 万葉集(巻14)東歌 *カヅノキ(可頭乃木)=ヌルデ
夏型のトラフシジミ(虎斑小灰蝶)。羽根の表はコバルトブルー。幼虫は、フジ、クズ、クサフジなどの花やつぼみを食べます。翅を開いてくれると美しいのですが。飛び去って行く時にキラッと光る翅の表が見えました。ルリシジミと思われる個体と、オオムラサキのオスとメスも一頭ずつ確認しました。梅雨明けが楽しみです。
雨ばかりで暇なので作りました。郷土料理、信州丸なすのおやき。ミョウガで香り付けと、青紫蘇で挟んだもの。粉は幻の伊賀筑オレゴンです。モーニング娘。20の羽賀朱音ちゃんのトレンドマーク。彼女のおばあちゃんが飯綱でおやき屋さんをやっています。手作りのものは、砂糖なんぞは入れません。野菜と信州糀味噌の甘みで充分です。妻が20年前に作ったオリジナルレシピです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
陣場平。濃緑(こみどり)で鬱蒼としています。貝母は枯れて全て倒れています。そのまま土に還ります。次回の妻女山里山デザイン・プロジェクトでは、帰化植物の除去と陣場平全体の除草を考えています。梅雨明けに除草すると、今まで何年も眠っていた従来の植物が発芽する可能性があるのです。
陣場平の中央にあるクマノミズキ(熊野水木)。この北側の斜面には、ミズキもあります。葉がミズキは互生で、クマノミズキは対生です。葉もやや小さい。このクマノミズキも私が11年前に発見した時には。根本が50センチもあるヤマフジに巻き付かれて、枯れる寸前でした。水分が多い木で、春に大量の水分を吸い上げる時には、溢れ出し、樹液酵母が見られます。
(左)クマノミズキの花。愛らしい花です。(右)結実しているものも。やがて丸く緑色になり、秋には青くなり晩秋には黒紫に。森の小鳥の餌です。小枝はピンクから真っ赤になります。私は森の珊瑚と呼んでいます。
(左)除去すべき帰化植物を探します。これはオオブタクサ。放っておくと高さが3m、茎が5センチにもなります。毎年仲間と除去作業をしているので、ずいぶんと少なくなりましたが、絶滅は困難です。葉の左に小さな昆虫。(右)沼の平湿原で見たヒメギスでした。
(左)陣場平入り口には、オニグルミやヒメグルミの木が多いのですが、これは違いますね。丸いのでシナノグルミでしょうか。9月に拾いに来ます。野生の胡桃は味が濃くて美味です。(右)陣場平下の、前回除草したギャップへ。
(左)センニンソウ(仙人草)。8月末から9月上旬に、香りのいいブライダルブーケの様な純白の花をたくさん咲かせます。漢方薬で毒草。汁に触れると水疱ができたりかぶれることがあります。(右)ガガイモ(鏡芋、鏡芋、芄蘭)。古名をカガミまたはカガミグサといい、古事記には、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)がガガイモの莢(さや)の舟に乗って大国主神(おおくにぬしのかみ)の前に現れたとあります。これも漢方薬ですが毒草です。
(左)山椒の実。もう固くて縮緬山椒にはなりませんが、赤くなると七味唐辛子の材料になります。(右)堂平大塚古墳へ。今は亡き山仲間のKさんが植えた白南天が結実していました。我が家にも白南天と赤南天があり、正月に飾りますが。難転といって縁起木として愛されてきました。 めぼしい昆虫が見られないので、下って林道倉科坂線へ。
ネムノキ(合歓木)の花。樹高10〜15mぐらいになり、花は樹冠で咲くのでなかなかこんな風に近接撮影はできません。長く伸びた線香花火のような紅色の雄しべが美しい花です。花弁は5つで真ん中に雌しべがあります。
ネムノキの名前は、夜になると葉が閉じてしまうことからです。葉全体が茎に付着する部分と小さな葉がそれぞれ付着する部分(葉柄)の基部がふくれていて(葉枕)その細胞内圧力(膨圧)が昼夜で変化するので葉が閉じたり開いたりするのだそうですが、何かの防御機能なのでしょうか。この葉は合歓皮(ごうかんひ)といって漢方薬です。利尿、強壮、鎮痛、腰痛、打ち身、腫れ物、水虫、手荒れ、精神安定などに効くそうです。貝原益軒は「この木を植えると人の怒りを除き、若葉を食べると五臓を安じ、気をやわらげる」と記しています。
(左)ネムノキの根には根粒ができます。根粒バクテリアと共生関係にあるのです。(右)ネムノキの実。マメ科であることが分かります。
「わぎも子が 形身の合歓木(ねぶ)は 花のみに 咲きてけだしく 実にならじかも」大伴家持(巻八-1463)
(あなたからもらった形身の合歓木は、花が咲くばかりで実にはならないかもしれません・・)
(左)オカトラノオ(丘虎の尾)。(右)アリが好む花です。
ヌルデ(白膠木)。ウルシ科なのでまれにかぶれる人もいます。葉軸に翼があるので同定は容易でしょう。生薬名は、塩麩子(えんふし)・塩麩葉(えんふよう)・五倍子(ごばいし)。ヌルデにできる虫こぶ(ゴール)のことを五倍子といいます。これは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシが寄生し、枝の翼に卵を産み付け、それが耳状にふくれたものです。
「足柄の 吾を可鶏山の *かづの木の 吾をかつさねも かづさかずとも」(詠人知らず) 万葉集(巻14)東歌 *カヅノキ(可頭乃木)=ヌルデ
夏型のトラフシジミ(虎斑小灰蝶)。羽根の表はコバルトブルー。幼虫は、フジ、クズ、クサフジなどの花やつぼみを食べます。翅を開いてくれると美しいのですが。飛び去って行く時にキラッと光る翅の表が見えました。ルリシジミと思われる個体と、オオムラサキのオスとメスも一頭ずつ確認しました。梅雨明けが楽しみです。
雨ばかりで暇なので作りました。郷土料理、信州丸なすのおやき。ミョウガで香り付けと、青紫蘇で挟んだもの。粉は幻の伊賀筑オレゴンです。モーニング娘。20の羽賀朱音ちゃんのトレンドマーク。彼女のおばあちゃんが飯綱でおやき屋さんをやっています。手作りのものは、砂糖なんぞは入れません。野菜と信州糀味噌の甘みで充分です。妻が20年前に作ったオリジナルレシピです。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。