長男から木曽の平沢でやっている漆器祭に行かないかと誘われ、連れて行ってもらいました。日帰りとはいえ久しぶりの遠出でした。木曽漆器は、長野県塩尻市の平沢(旧木曽郡楢川村平沢)を中心に作られている国指定伝統的工芸品です。世界最古の漆は日本で、約9000年前のものが北海道函館市で発掘されています。縄文時代前期(約5500年前)には、漆器、飾り弓、飾り太刀、櫛、笄(こうがい)、壷、甕(かめ)など現代に勝るとも劣らない工芸作品が製作されていました。漆の赤は、血や魂の色で、魔除けや再生、繁栄を意味したものともいわれています。漆を発見し、探求して実用化したその高い技術には驚嘆せずにはいられません。「縄文時代 漆」で検索すると分かります。
●「全盛期の縄文土器」ー圧倒する褶曲文ー 長野県立歴史館:尽きない縄文の魅力(妻女山里山通信):縄文時代の高度な文化に触れてください。
奈良井川の橋から見る平沢の町並み。「木曽路はすべて山の中である」という島崎藤村の小説『夜明け前』の言葉通り、山に挟まれています。600mほど上流の屋内運動場横に駐車して、シャトルバスもありますが気持ちのいい奈良井川沿いの小道を歩きました。奈良井川は松本平で犀川に合流し、千曲川、信濃川となって日本海に流れます。
平沢宿の入り口にある説明。中山道に沿って間口三間の奥行きの長い敷地の家が並んでいます。家は表から店、お勝手、座敷。その奥に二階建て土蔵造りの塗り蔵などがあります。街は、平成18年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
伝統的な家が並ぶ趣のある町並み。漆器店がたくさんあります。骨董品店も。
店によって個性があるので、色々覗くと楽しいのです。
店頭にはセール品が並んでいます。50円100円から数千円、数十万まで。高級品は店の奥にあるので、店内も見るといいですね。目の保養になります。
レトロな洋館と黒い蔵が並んだお洒落な蕎麦屋さん。木曽檜コーラというのが面白い。まだ昼前なので入りませんでしたが、けっこう混んでいました。窓の桟や壁の装飾が非常に美しい。
少しずつ人も増えてきました。中央に囲炉裏のある豪華なテーブルは売約済みでした。お椀や箸だけでなく、座卓や座椅子、茶器、こね鉢などなんでもあります。お弁当や山賊焼き、かき氷などの屋台も出ています。
漆塗りのスバル360は、マスコミでも取り上げられましたが、今日は出張中。その代わりダイハツミゼットが。1957年〜1972年まで生産・販売されていた懐かしい車です。桑田佳祐監督の映画「稲村ジェーン』に出てきました。この店には他にもハイセンスな漆商品が並んでいます。
小路を入って漆グラスの店へ。街のあちこちにオダマキ(苧環)が咲いていました。
丸嘉小坂漆器店の非常に美しい漆を使ったグラス。数千円から数万円まで色々あります。漆硝子は、ネットでも買えます。特に若い女性が多く訪れていました。
長男は、漆塗りのめんぱを買いました。めんぱは、檜の曲木細工の弁当箱です。ここから左の道へ曲がって金西町の通りへ。
伝統的建築。なかなか凝った作りです。
焦げ茶と白の繰り返しが美しい。
小路を抜けて中山道に戻りました。親子で漆塗りの実演をしていたので、色々お話をうかがいました。ひょうたんとうるしの作家・いちだめぐりさん。漆は水分と化学反応を起こして硬化するので、適度な湿気が必要。900mの高地にある周囲を山々に囲まれた木曽の湿潤な気候は、漆を塗るのに適しているのです。手前のはサラダ油で、使う刷毛をサラダ油で漆を洗い落とすのだそうです。かぶれませんかと聞くと、男の子の膝が赤くなっていますが、漆が付くとやはりかぶれるそうです。でも慣れているみたいです。敏感な人は、ハゼノキやヌルデでもかぶれることがあります。お手伝いするとご褒美があるそうで、一生懸命に塗っていました。いい工芸作家になるのではないでしょうか。塗っているのはめんぱです。
和服の女性も何人もいました。宿場町にはよく似合います。木曽の酒といえば七笑です。ジビエとか鮎などにもよく合います。漆器は英語ではJAPAN(Japanese lacquer)と呼ばれ人気です。今回はコロナで外国の方はほとんどいませんでしたが、治まればたくさん訪れるでしょう。
奈良井川沿いを歩いて帰ります。中央西線は、奈良井川の左岸や右岸を何度も渡っています。
河川敷に咲くヒレハリソウ(鰭玻璃草)。別名は、コンフリー。ヨーロッパ原産の多年草で、食用、薬用、牧草として使われましたが、肝機能障害をおこす恐れがあるそうです。他にはマーガレットも咲いていました。
かなり古い砂防ダムがありました。水が流れ出た跡が赤茶色になっていますが、鉄分が多いのです。その鉄分を多く含んだ錆土(さびつち)が、木曽漆器の下地の材料に使われ、丈夫で高品質な漆器を生み出すのだそうです。
昼食を食べに向かう途中で、木曽駒ヶ岳が見えました。昼は、鳥居トンネルを抜けて木曽川水系へ。人気の蕎麦店、木曽町の「阿羅屋」へ。こしのある色が濃く細い蕎麦は絶品。かえしとくるみダレがつきます。野菜天といただきました。食後は木曽福島の御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)へと向かいました。義仲館、興禅寺と徳音寺と合わせて、次の記事で紹介します。
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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奈良井川の橋から見る平沢の町並み。「木曽路はすべて山の中である」という島崎藤村の小説『夜明け前』の言葉通り、山に挟まれています。600mほど上流の屋内運動場横に駐車して、シャトルバスもありますが気持ちのいい奈良井川沿いの小道を歩きました。奈良井川は松本平で犀川に合流し、千曲川、信濃川となって日本海に流れます。
平沢宿の入り口にある説明。中山道に沿って間口三間の奥行きの長い敷地の家が並んでいます。家は表から店、お勝手、座敷。その奥に二階建て土蔵造りの塗り蔵などがあります。街は、平成18年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
伝統的な家が並ぶ趣のある町並み。漆器店がたくさんあります。骨董品店も。
店によって個性があるので、色々覗くと楽しいのです。
店頭にはセール品が並んでいます。50円100円から数千円、数十万まで。高級品は店の奥にあるので、店内も見るといいですね。目の保養になります。
レトロな洋館と黒い蔵が並んだお洒落な蕎麦屋さん。木曽檜コーラというのが面白い。まだ昼前なので入りませんでしたが、けっこう混んでいました。窓の桟や壁の装飾が非常に美しい。
少しずつ人も増えてきました。中央に囲炉裏のある豪華なテーブルは売約済みでした。お椀や箸だけでなく、座卓や座椅子、茶器、こね鉢などなんでもあります。お弁当や山賊焼き、かき氷などの屋台も出ています。
漆塗りのスバル360は、マスコミでも取り上げられましたが、今日は出張中。その代わりダイハツミゼットが。1957年〜1972年まで生産・販売されていた懐かしい車です。桑田佳祐監督の映画「稲村ジェーン』に出てきました。この店には他にもハイセンスな漆商品が並んでいます。
小路を入って漆グラスの店へ。街のあちこちにオダマキ(苧環)が咲いていました。
丸嘉小坂漆器店の非常に美しい漆を使ったグラス。数千円から数万円まで色々あります。漆硝子は、ネットでも買えます。特に若い女性が多く訪れていました。
長男は、漆塗りのめんぱを買いました。めんぱは、檜の曲木細工の弁当箱です。ここから左の道へ曲がって金西町の通りへ。
伝統的建築。なかなか凝った作りです。
焦げ茶と白の繰り返しが美しい。
小路を抜けて中山道に戻りました。親子で漆塗りの実演をしていたので、色々お話をうかがいました。ひょうたんとうるしの作家・いちだめぐりさん。漆は水分と化学反応を起こして硬化するので、適度な湿気が必要。900mの高地にある周囲を山々に囲まれた木曽の湿潤な気候は、漆を塗るのに適しているのです。手前のはサラダ油で、使う刷毛をサラダ油で漆を洗い落とすのだそうです。かぶれませんかと聞くと、男の子の膝が赤くなっていますが、漆が付くとやはりかぶれるそうです。でも慣れているみたいです。敏感な人は、ハゼノキやヌルデでもかぶれることがあります。お手伝いするとご褒美があるそうで、一生懸命に塗っていました。いい工芸作家になるのではないでしょうか。塗っているのはめんぱです。
和服の女性も何人もいました。宿場町にはよく似合います。木曽の酒といえば七笑です。ジビエとか鮎などにもよく合います。漆器は英語ではJAPAN(Japanese lacquer)と呼ばれ人気です。今回はコロナで外国の方はほとんどいませんでしたが、治まればたくさん訪れるでしょう。
奈良井川沿いを歩いて帰ります。中央西線は、奈良井川の左岸や右岸を何度も渡っています。
河川敷に咲くヒレハリソウ(鰭玻璃草)。別名は、コンフリー。ヨーロッパ原産の多年草で、食用、薬用、牧草として使われましたが、肝機能障害をおこす恐れがあるそうです。他にはマーガレットも咲いていました。
かなり古い砂防ダムがありました。水が流れ出た跡が赤茶色になっていますが、鉄分が多いのです。その鉄分を多く含んだ錆土(さびつち)が、木曽漆器の下地の材料に使われ、丈夫で高品質な漆器を生み出すのだそうです。
昼食を食べに向かう途中で、木曽駒ヶ岳が見えました。昼は、鳥居トンネルを抜けて木曽川水系へ。人気の蕎麦店、木曽町の「阿羅屋」へ。こしのある色が濃く細い蕎麦は絶品。かえしとくるみダレがつきます。野菜天といただきました。食後は木曽福島の御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)へと向かいました。義仲館、興禅寺と徳音寺と合わせて、次の記事で紹介します。
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