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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山も蝶や甲虫の季節真っ盛り。ウラゴマダラシジミの悲劇。キツネアザミのケサランパサラン(妻女山里山通信)

2022-06-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨の晴れ間の妻女山山系。昆虫があちこちで見られる様になりました。ここのところの大雨で、林道は酷い泥濘状態。何度もタイヤが滑りましたがなんとか陣場平へ。麓はカラッとしていましたが、森の中は湿っていて草には露もついています。

 陣場平で草刈り。主にヒカゲイノコズチを刈りました。そして、オオブタクサの抜き取り作業。50本以上抜きました。貝母(ばいも)は、立ち枯れているのもありますが、多くは倒れました。梅雨明け頃には消えていきます。

 日向ぼっこするヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)。タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。食草はイネ科のススキ、カヤツリグサなど。

 イチモンジチョウ(一文字蝶)アゲハチョウ上科タテハチョウ科。幼虫の食草は、スイカズラ科のスイカズラやタニウツギ、ヤブウツギなど。妻女山山系のものは、オレンジ色の斑紋があります。

 左がヘビイチゴ(蛇苺)で、右がヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)。神経痛の民間薬。無毒ですが味はありません。どちらもバラ科キジムシロ属の多年草。黄色い花もキジムシロやミツバツチグリとよく似ています。

 テングチョウ(天狗蝶)タテハチョウ科テングチョウ亜科。翅を閉じてとまることがほとんどですが、雨後で湿った翅を乾かしたいのでしょうね。天狗の鼻の様に見えるのは、下唇ひげ(パルピ)です。幼虫の食草はエノキなど。

 ヒメギス(姫螽蟖)の幼虫。幼虫なのでまだ翅が生えていません。周囲にもたくさんいました。

 腹部の模様が見えないのでもうひとつ確かではないのですが、キンアリスアブ(キンアリノスアブ)。特徴的な触覚と胸部の色や毛の色から。幼虫はクロヤマアリの巣の中で育ち、成虫も巣の周辺で見られます。「キンアリスアブ 幼虫」で検索すると、その不思議な丸い幼虫が見られます。

 貝母(編笠百合)の実に張った蜘蛛の巣。クサグモでしょうか。蜘蛛の巣は、種類によって形が異なるので巣の形状で種類が分かります。網を張らない蜘蛛もいます。

 中央部がかなり膨らんでいます。種が充分に大きくなっているのでしょう。まもなく枯れ初めて、やがてさく果なので弾けて種を飛ばします。羽は6枚ですが、種は縦に三列並んでいます。一列に20個ほどなので、ひとつの実で60個ぐらいです。発芽率は分かりませんが、増え方を見るとかなり高いのかも知れません。球根は翌年から咲きますが、種からの場合は咲くまで数年はかかります。

 蜘蛛の子。ちょっと指で触れると、「蜘蛛の子を散らす」状態に。しばらくすると、また戻ってきます。種類は不明です。

 ヤブキリ(藪螽蟖)の幼虫。幼虫の頃は、花粉や花弁を食べ、成長すると肉食性になり昆虫を捕らえて食べるようになります。

 三本の翅斑があるので、ミスジシリアゲのメス。小動物や昆虫の死骸の体液を吸います。幼虫は土中で虫を食べる肉食性の昆虫。オスは腹端がサソリの様な形状をしています。2億5000万年前のベルム期から生息していたシリアゲムシ目に属する非常に起源の古い昆虫。

 ヤマグワの実。マルベリー(mulberry)と呼ばれ食べられます。生食やジャムやジュースに。子供の頃は、いいおやつでしたが、白いシャツを汚すと落ちないので、母や祖母によく叱られました。鳥や昆虫の餌になります。落ちて潰れた桑の実をオオムラサキが吸汁しているのを目撃したことがあります。

 ガガンボ・オオカ(大蚊)糸角亜目ガガンボ科の交尾。「ががんぼの 脚の一つが 悲しけれ」(高浜虚子)とうたわれる様に、脚がすぐにもげます。ザトウムシもそうですが、いわゆるとかげの尻尾切りで、身を守るすべなのでしょう。成虫は主に花の蜜が主食で、寿命は10日ほどの儚い虫です。

 ウスバシロチョウ。スフラギスを付けているので交尾を終えたメスです。産卵のためにハルジオンで盛んに吸蜜していました。

 ウラゴマダラシジミ(裏胡麻斑小灰蝶)シジミチョウ科ミドリシジミ亜科。何か様子が変です。しばらくすると落下しました。

 翅が裂けている様です。翅の表にはなにか極小の種の様なものが。ニホンカナヘビとか何かに襲われたのでしょうか。この後地面に落下して見えなくなりました。

 キツネアザミの種。風が吹くとケサランパサランになって飛んでいきます。銀色に輝きながら飛ぶ様は美しい。

 梅雨の晴れ間の善光寺平。戸隠連峰の残雪もほとんど消えたようです。千曲川は少し増水しています。梅雨明け近くの豪雨で洪水にならなければいいのですが。梅雨寒ですが、週末は30度の予報。体調管理が大変です。

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