朝7時半頃、ベランダに出た長男が、「あっ! 蝶が羽化している」とささやく。見ると羽化したばかりのコミスジが、アピオスの葉にぶらさがっている。コミスジは、ミスジチョウの中では小型で最も普通に見られる蝶。羽化したばかりではねが乾いていないらしく閉じたままじっとしている。
羽ばたきと滑空を繰り返し、まるでワルツを踊るように軽やかに梢の間を飛んでいく。食草がマメ科の植物なのでアピオスに来たのだろう。去年も見かけた。よく見るとあっちにもこっちにも羽化した後のサナギの抜け殻がいくつもある。知らぬ間に何頭も旅立っていったようだ。
1時間後、ようやくはねを動かし始めた。ゆっくりと閉じたり開いたりしてウォーミングアップをしている。そしてまた休む。何回か繰り返した後に初めての飛行。30センチほど飛んで別の葉に止まった。またウォーミングアップ。やがて北の空へ向かって飛び去った。幸あれ。