モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

キノコ狩りと手打ちパスタとカチュッコでイタリアンな秋日(妻女山里山通信)

2015-11-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今回の妻女山里山デザイン・プロジェクトは珍しく山仕事がなく、キノコ狩りのみとなりました。といっても、北信はこのところ全く雨が降っていないので、大収穫は望めません。案内する私としても一本も採れなかったでは、ガイド失格なので、ここは確実にムキタケ狙いでシロをいくつか回ることにしました。

 今年一番の冷え込みとかで、気温は2度あるかないか。長い林道歩きから森に入り、道なき林下を下って、ひとつ目のポイントへ。ムキタケがそこそこ採れました。毒キノコのツキヨタケと紛らわしいのですが、ツキヨタケは標高1000m以上に行かないとないので、この辺りでは心配する必要はありません。雨が降ると巨大化するのですが、今回は大型のものはあまりありませんでした。ムキタケは地元でもあまり市販もされませんが(ネットでは買えるようです)、非常に美味しいキノコです。木材の白色腐朽を起こす腐朽菌の一種で、腐朽力が強いためシロの消耗が早く、2、3年、長くても4、5年でそこからは出なくなります。

 10基ぐらいあるでしょうか、積石塚古墳(左)。しかし、ここに来る道もないため、地元の人でも知っている人はほとんどいません。馬の生産をしていた渡来人のものでしょう。大室古墳群のものと似ています。中はイノシシのヌタ場。直径1.5m位のわりと小型のもの。周囲には泥をこすりつけた木があります。乾いた森を抜けて次のポイントへ(右)。案内する私は、どこを歩いているか全部分かっていますが、おそらく皆は、全く分かっていないでしょう。

 森はこんな感じで、この辺りは山道もありません。林道もずっと離れたところにあります。林下は意外と暗いので、こういうところで迷ったらパニックになるでしょう。イノシシやニホンカモシカに出遭うこともあります。先日、友人に象山でイノシシのオスに追いかけられて、竹藪に逃げ込んで助かったという話を聞いたばかりです。晩秋、初冬と早春には月輪熊が出ることも。私は拙書にも書いていますが、鏡台山で三回ほど熊に遭遇しています。その内、山頂での出来事は本にも書いていますが、緊迫したものでした。この山域の主な樹種は、高木がコナラ、ヤマザクラ、オニグルミ、エンジュ、落葉松、赤松など。低木は、ガマズミ、クサギ、ヤマコウバシ、ヤマツツジ、コムラサキなどです。湿った林床には、イノデやヤブソテツも群生。猛毒のヤマトリカブトの群生地もあります。

 陽があまり差し込まない薄暗い深い谷へ。ひとりではあまり来たくないところかも知れません。オニグルミの大木に、ミツバアケビやヤマフジのつるが絡みついています。そんなある場所で、ムラサキシメジをゲット。撮影のためにどかしましたが、本当は枯れ葉でほとんど見えていませんでした。いわゆるキノコ目がないと、枯れ葉に覆われたキノコは、普通の人には見えません。この尾根の反対側は、ネオニコチノイド系農薬の空中散布をするため、山菜もキノコも一切食べられません。昆虫もいません。死の山です。

 森を抜けて「菱形基線測点」のある陣馬平へ(左)。NO.16 基本 建設省国土地理院と記されています。地球の歪み計測した名残り。茶臼山にあるものの場所が不明なのですが、だいたい目星がついたので、落葉期に探しに行こうと思います。シナノガキ(信濃柿)(中)。渋柿なんですが、この様な色になると渋味が抜けて甘くなります。木になったまま干し柿になるのですが、落果したものはタヌキがよく食べに来ます。青い柿を水に浸けておくと柿渋ができます。昼近くになって、やっと日差しが暖かくなってきました。約3時間かけて、いくつものポイントを回って、やっと4キロ弱のムキタケが採れました。
  ムキタケ、クリタケ、ムラサキシメジともに腐生性キノコで、セシウムを10倍溜めるという菌根性ではありませんが、念のためたっぷりの塩水に浸けた後、流水でよく洗ってから、茹でこぼしましょう。塩水に浸けるのは虫を追い出すためですが、セシウムと結合するので除染効果もあるようです。また、酢やクエン酸を加えるとより効果があるそうです。(ベラルーシのベルラド放射能安全研究所)

 まだまだ、緑が目立ちます。落葉松の黄葉も始まったばかり。皆シナノガキの味見をしています。毒草や薬草の研究をしているK医師は、わざわざ渋柿を食べて味見をしていました。かなり渋いです。家の柿酢も白いコロニーができはじめました。今年もいい柿酢ができそうです。

 昼餉の準備。今回はイタリアンということで、N氏はアクアパッツァを準備。キノコ狩りには不参加だったK氏が自家製の小麦で作った手打ちパスタを持参。S氏は地粉でくるみパンを焼いてきました。私は、ニシンのアヒージョ(オリーブ油煮)を。イチジクの焼酎漬けも。K医師にはブルーチーズ系を幾つか持ってきてもらいました。T氏には鶏肉を。これは我々が栽培している椎茸とソテーして、S氏が作ってきたトマトソースと合わせてパスタソースに。

 出来上がりを見るとアクアパッツァというよりカチュッコですね(左)。パンを浸して食べても旨い。いい出汁が出ています。真ん中は私が持ってきたムラサキシメジをパスタに絡めて。オリーブ油で炒めましたが、これはバターの方が合いますね。生クリームを少し入れると良かったかも。右は前記の鶏肉入りトマトソースにゴルゴンゾーラを少し加えて。なかなかのボリュームです。くるみパンにゴルゴンゾーラ・チーズと私が持参したブラックオリーブのペーストとニシンのアヒージョ、またはイチジクを挟んだサンドウィッチも馬鹿旨でした。今回はちょっとやり過ぎたようです。次回はキノコうどんとダッチオーブンの予定。作業は登山道や林道の伐倒処理があるかもしれません。

 妻女山松代招魂社の桜の葉も随分と落ちました(左)。この日は、10台以上観光客の車が訪れていました。大河ドラマ『真田丸』で、また増えるでしょう。鞍骨城跡へ向かったハイカーもいました。以前、天城山(てしろやま)付近で迷ったそうです。拙書の地図を見せて説明しましたが、天城山は尾根が十字に出ているので、標識をよく確認しないと迷い易いのです。地形図が載った私の本とコンパスは必須です(笑)。イラストや略図や立体地図では正確な位置や距離、方向が確認できません。最近、地図を読めないハイカーが増えているそうですが、読図力は養っておくべきです。私の講座では、そういう話もします。
 クサギ(臭木)の青い実も落ち始めています(中)。雨も降っていないのにハナイグチが。信州ではジコボウ(時候坊)といいますが、7本ほど採れました。虫が全く入っていない綺麗なものでした。

 妻女山展望台から、松代方面のパノラマ写真。4枚の写真を繋げてあります。中央左は奇妙山。左手前に重なって尼巌山。いずれも拙書で紹介しています。奇妙山から右へ、堀切山・立石山(立石岳)・保基谷岳と続きます。手前に皆神山。その右手前の尾根が象山。手前に高速の松代SAの塔が見えますが、その左向こうの森が松代城(海津城)です。信州の秋はどんどん深まっていきます。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。その山の名前の由来や歴史をまず書いているので、歴史マニアにもお勧めします。サイクリストやトレランの人にも買っていただいています。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください
お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。

にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ にほんブログ村 アウトドアブログへ にほんブログ村 アウトドアブログ ハイキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ

国分寺・国立70Sグラフィティ』村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。はてなブログに移動しました。順次アップしていきます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中尾山・茶臼山ハイキング201... | トップ | 虫倉山。神城断層地震で崩壊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事