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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

錦秋の奥志賀から秋山郷で紅葉に酔い滝三昧、そして蕎麦三昧の始まり(妻女山里山通信)

2020-11-02 | アウトドア・ネイチャーフォト
 5連休の休暇に三泊四日の旅を計画しましたが、プランができません。とりあえず、前回台風14号で諦めた、秋山郷と志賀高原の旅を初日にすることを決めました。しかし、その後のプランは未定です。ノープランの旅になりました。勘違いや混雑、天候による予定変更もありましたが、いい旅でした。素敵な出会いもありました。

 澗満滝(かんまんだき)。千曲川の支流の角間川にかかる幅20m、落差107mの志賀高原最大の滝です。駐車場からわずか190m。駐車場からすぐ上に展望台の四阿が見えます。

 一沼。志賀高原の入り口にある沼です。紅葉は終わりに近い状態。高齢のカメラマンが何人もいましたが、皆スイレンが除去されてつまらなくなったと。後日、別の方からスイレンに似ているヒツジグサが除去されてしまったと。ヒツジグサが日本在来の種類なのに対して、各地の池や沼には後から持ち込まれた園芸用の温帯性スイレンが、結構あちこちで幅をきかせていることがあるそうです。妙高のいもり池もかつてはヒツジグサが繁茂していたそうですが、現在はスイレンがはびこり、除去作業をしています。おそらくここもヒツジグサをスイレンが寡占してきたのではないでしょうか。わずかに残されていたのがヒツジグサだと思われます。

 湖面に映る白樺。

(左)奥志賀の一ノ瀬スキー場(高校の頃美術班で油絵を描きに来た)を経て秋山郷へ。大滝(おおぜん)へ。谷に桂の木があり甘い芳香を振りまいていました。(右)大滝へは約20分です。

(左)落ちたら助からない崖の上の細い道。子供や高齢者、高所恐怖症の人は行くべきではありません。トレッキングの装備が必要です。(右)近くで見られないので確実ではありませんが、ややピンクがかった紅葉は、メグスリノキでしょう。煎じて飲むと目にいい民間薬です。

 雑魚川(ざこがわ)の落差25m、幅10mの大滝(おおぜん)。結東層の堅い変質した安山岩の凝灰角礫岩が作る滝。大滝をおおだるというのはありますが、おおぜんというのは初めて知りました。だるは、垂水からきているのですが、ぜんはなにから来ているのでしょう。

■奥志賀の大滝(おおぜん)



(左)名もない滝があちこちに散見されます。(右)枯れ木の上で口をモグモグさせながら、何かを見ている猿。泰然自若。たいしたやつだ。この前にも猿の群れに遭遇しました。

 赤と黄色と緑と枯れ葉の茶色、散ってしまった枝の取り合わせがなんとも美しい。

 黄葉と青みがかった灰色の崖。補色のコントラストが絶妙。

 真紅なのはハウチワカエデでしょうか。楓は日本に80種類以上あります。紅くなるのは樹種のためだけではなく、夜間に晴れて放射冷却によって気温が下がり、樹木が保身のためにポリフェノールの一種のアントシアニンが形成されるためです。そのため今年のように曇りや雨が多いと最低気温が高く、紅葉にならず黄葉になってしまうのです。

 紅葉黄葉の入り乱れる景色。

 今回最も美しかった景色。特に場所の名前はないようですが。居合わせたご夫婦はこれは凄いと感嘆していました。奇蹟の光で、手前の紅葉に太陽の光が当たり、奥の崖が陰という信じられない瞬間。この状況に酔ってしばらく動けなくなりました。シャッターを切るのも忘れて、思わず見入ってしまったほどです。プロカメラマンとしては落第ですね。涙腺が緩むほどの紅葉というのは初めて観ました。叶うものならば、最愛の亡き妻とこの景色を共有したかったですね。きっと天国で見ていたでしょう。

 凄みのある紅葉。断崖絶壁にへばりつく植物も紅葉しています。平日ですが、けっこう対向車もありました。ミラーのないカーブではクラクションを。

 秋山郷の有名な布岩の紅葉。幅1.5mほどの柱状節理に松の緑と紅葉のコントラスト。

 秋山郷の中心部を俯瞰したところ。右に布岩。美しい風景ですが、冬は考えられないほど厳しいのだろうなと思わされます。昔、「新日本紀行」で観た秋山郷のモノクロの映像をはっきりと覚えています。

 伝説の蛇淵の滝(じゃぶちのたき)。秋山郷の熊取名人が熊を追って、渓流の丸太を渡り終え、ふと後ろを振り向いたところ、それは丸太ではなく大蛇であった。恐ろしさのあまり一目散に山道を逃げ去ったという伝説がある。落差は30m、幅は4m。ここで京都から来たsさんと邂逅。色々楽しい話ができました。

(左)滝の入り口にある山源の天ぷら蕎麦。蕎麦は普通だが地元の野菜と山菜の天ぷらは秀逸。(右)山源は木工工房でもあります。これはブナの巨木でしょうか。凄い。

 中津川左岸を覆う柱状節理の発達した岩屏風。約30万年前に噴出した苗場山の溶岩で、中津川に浸食されて現在の峡谷になりました。雪どけの頃、雪崩とともに岩が音を立てて落ちるため石落しと呼ばれます。

 東京電力の中津川第一発電所。

 上越市の道の駅あらいで車中泊。愁雨でたそがれています。新しいこちらは閑散としていますが、向こう側は混雑しています。放浪の旅、さて明日はどこへ行こうか考えていました。なんと富山へ。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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