一言も言葉を交わしていないのに、初女さんに
手を包まれと涙が溢れてしまう
それって何でしょう…
私は、初女さんの前で涙している人を沢山見て
来たし、私自身もまた初女さんの手を握りながら
どれだけ泣いたことでしょう
そんなことを思っていたら、Kさんが
「ねえ、皇后美智子さまの前で人は涙するでしょ
あの涙と初女さんの前で涙する人の涙って
同じじゃないかな」というのです。
そうか、そうかもしれない…
それはきっと慈愛に包まれた涙なのかも
しれません。
慈愛とは、なんと深い愛なのでしょう
『耐えがたきを耐え
忍びがたきを忍び
許しがたきを許し
あたたかい太陽を思わせる優しい言葉
冬のきびしい寒さにも値する愛情ある助言
慈しみの雨のように涙を流して共感する
なごやかな風を思わせる雰囲気
それが母の心
佐藤 初女』