パンがなければ、ケーキを食べればいい。
マリー・アントワネット(伝)
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ご存じ、フランス革命に火をつけた悪名高き女性である。美しく見えるが、派手な衣装をまとった女の薄い目つきに、教養の浅さを感じることをごまかすことはできない。
偽物の王は、人民をだますために、王から王の姿を盗む。悪魔が神の仮面をかぶって人をだますように、真実の王から王の姿を盗むのだ。それをかぶって、人民に言うことを聞かせようとするのである。
だから馬鹿は、あらゆる霊的技術を使って、美しく立派な姿を手に入れようとするのだ。このマリー・アントワネットも、霊的技術の粋を尽くして、作ってあるんだよ。失敗する例もあるが、そういう時は豪奢で品のいい衣装でごまかす。
この女の正体は、もっと不細工なんだが、かわいい女の顔を盗み、肌を白くするために、馬鹿なものを霊体に塗ってあるのだ。それで、いやらしいくらいにきつい、変な美女ができるんだよ。ある程度はだませたが、馬鹿はごまかせない。自分の欲望を満たすことのみをひたむきにやって、人民に見抜かれ、馬鹿になった。
馬鹿が汚しに汚した王制は、この女とともにギロチン台に消えたと言ってよい。
ならば、本当の王はどういう姿で来るか。愛は常に美しく立派な姿で来るとは限らない。愛する者の心のために、自在に、どのような姿をとってでもやってくる。
ちびで不細工な姿でやって来る時もあれば、立派な王そのものという姿でやって来る時もある。貧乏なやせぎすの男で来るときもあれば、ふっくらとした普通のおばさんの姿でやってくるときもある。愛には姿などどうでもよいのだ。本当の愛がありさえすれば、それは美しいものだからである。
昭和天皇は貧相な小男だった。天智天皇は小太りの普通のおじさんだった。
あなたがたは、形でなく、心で真の愛を見抜く訓練をしなければならない。人民のために本当の愛を発揮してくれる、真実の王の魂を見抜き、それを北辰に据えなければならない。
愛というものが、どういうものであり、どういうことをしてくれるものなのかを、つぶさに学び、それを実際に生かしていかねばならない。