
No,5
フリーダ・カーロ、「レオン・トロツキーにささげる自画像」、20世紀メキシコ。
20世紀芸術にはさまざまなものがあるが、人間の精神の崩壊がどれにも如実に現れている。嘘のはびこる世界の中で、芸術家も一つのステータスとなり、芸術家は嘘と真の間で壊れていく自分の姿を、知らず知らずのうちに描いていた。
フリーダ・カーロは20世紀という時代で自分を表現した画家の中では、特筆すべき名だと思う。この絵は、苦しい時代の中で自己存在の美を求めた彼女の絵の中で、最も美しいものだと思う。
この絵には実在の女性の存在感が強く表れている。
愛と試練の間でさいなまれた人間の魂が表現されている。