普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

衆参議長の仲介

2008-02-01 10:05:55 | 民主党

 1月30日のNHKの時事公論で暫定税率の衆参議長の仲介の経緯について解説があった。
 私から見て可なり公平な意見と思ったのでその概要を紹介(青字)し、それに付いての私の注釈と感想(黒字)を纏めてみた。
時論公論「ガソリン国会激突回避の背景」

[つなぎ法案の背景]
・つなぎ法案の例はありますが、(今回のような)与野党の対立でこのようなやり方をしたのは極めて異例のことです。与党側がなぜそこまでしたのか。背景には2つの事情がありました。

・1つは、民主党が、税制関連法案を年度内には成立させない、暫定税率を何としても期限切れに持ち込むという構えを見せていたことです。参議院では、法案の取り扱いは民主党が主導権を握っています。小沢代表も「与党側と協議はしない」と明言しています。このため、与党としては、話し合い路線では、3月末までの成立に向けて、民主党と接点を見出すことは出来ないという判断に傾きました。
  福田さんの話し合い路線と、小沢さんの対決路線は完全な平行線で一致する訳がないのにお互いにその路線をキープしたまま国会を空転させてしまった。
 民主党が対決路線を堅持するのなら、自民党も対決路線に転換し、国会で火花を散らすほうが、問題点をはっきりさせ、福田さんの「抱きつき政策」のなんとない「うさん臭さ」を払拭し、国民にとっても次回の衆院選の際の選択の参考になると思う。

もう1つは、経済的な混乱が予想されることです。
(中略)
与党側は、税制関連法案は、3月末を過ぎても衆議院で再可決する方針です。
 政府・与党は(そうなれば経済的な混乱が予想される。)と言って、それもつなぎ法案を出した理由に挙げています。

民主党の党略(以下NHKの解説の概要)
 背景に暫定税率を期限切れ→与党側が法案を再可決→福田総理大臣の問責決議案を可決→衆議院の解散・総選挙に追い込む
 与党がいったん下がったガソリンの値段を元にす→国民の批判が与党に集中の読み
与党の党略
 つなぎ法案成立→3月末から4月を解散・総選挙に向けた与野党の攻防の最大のヤマ場にしようとしていた民主党の政権戦略の狂い

[衆参議長の仲介の受け入れ]
・では、与野党は一転して、議長のあっせんを受け入れたのは与党も民主党も、実は世論を味方につける自信が持てなかったからだと思います。
・与党側は、つなぎ法案を成立させようとすれば、本来なら税制関連法案だけで済んだ与党の3分の2による再可決を2度も繰り返さなければいけないところでした。数の力で押し切ろうとしているという印象を国民に与えたら、世論の批判を浴びかねません。その上暫定税率を撤廃して、ガソリンを安くして欲しいという世論の風当たりはその分強くなる可能性がありました。
・一方の野党側ですが、民主党は、与党が法案を衆議院本会議で可決したら、この後の国会審議にはすべて応じないという方針を決めていました。しかし、災害対策などを盛り込んだ補正予算案や平成20年度予算案まで審議を拒否すれば、与党側が「国民生活に関わる予算案を人質に取っている」と批判を強めるのは確実でした。いつまでも審議拒否を続ければ、こちらも世論の批判を浴びる可能性がありました。

 最近の選挙結果はは世論とそれをリードするマスコミによって大きな振幅を見せるのが特徴だ。そしてその振幅を大きくするのが文字通りの浮動票と数えられる層だ。

・また、そういう戦術に他の野党がどこまで同調するか。野党の結束に対する不安もありました。議長あっせんが不調に終わって、与党が採決に踏み切ることは避けたい事情が野党側にもあった訳です。
 民主党の海上給油の対案の審議未了の作戦を正論を吐いて留めたのが共産、社民などの少数党だ。今後、民主党に不合理な動きがあれば、正論でそのブレーキを掛け、政局を動かすキープレイヤーとなるのが、国にとっても良いし、党にとっても次期選挙で得票を伸ばす大きな力になるだろう。
 私は社民党が民主党の政権奪取を応援して与党になるか、民主党に対して是々非々を貫いて国民からの支持を伸すのが、どちらか良いか良く判断して貰いたいと思う。
 村山内閣以来の急激な社会党衰退の歴史を考えれば、少なくとも当面は後者の方のが党のためにも良い様な気がする。
 そしてマスコミ、国民がいくらかの不安の念を持ちながら国会の成り行きを見つめている今がその党勢を伸ばす絶好のチャンスだと思うのだが。

[今後の展開]
・議長のあっせん案は、税制関連法案について、「年度内に一定の結論を得る」として、暫定税率の期限切れを狙う民主党に譲歩を求める一方、与党にはつなぎ法案の取り下げを求めたものです。「3月中に税制関連法案の採決をすると確約したものではない」。民主党はそう言っている、曖昧さの残るあっせんですが、今の段階から与野党が激突して、抜き差しならない状態になるのを避けるだけの効果はありました。
 今でも民主党の参議院議員会長の輿石さんが同じようなことを言っているが、議長の仲介が出た現在、民主党はこのような態度が国民の支持を受けるかどうか良く考えたほうが良いと思う。

・国会では、税制関連法案はもちろん、20年度予算案の審議も始まっていません。「つなぎ」法案をめぐる動きの一番の問題は、論戦はまだこれからという段階で、暫定税率の問題に一定の方向を出そうとしたことでした。しかし、それでは、国会審議が形骸化することになってしまいます。私は、そこまで事態を進めた責任は与野党双方にあると思います。
・まず、与党側ですが、つなぎ法案を出す以前に、肝心の暫定税率を続ける必要性について、説明責任が十分果たせていないと思います。地方には確かに道路がまだまだ必要だという声があります。しかし、道路整備の中期計画のように10年で59兆円も必要なのか。福祉予算が削られて行く中で、なぜ道路だけは特定財源で予算を確保し続けるのか。国会での序盤戦の質疑を聞いても説得力のある説明は出来ていません。
・一方、野党側、とりわけ民主党です。民主党は、ガソリン税と解散・総選挙を絡めようと、頭から対決姿勢で臨んでいます。税制関連法案の年度内成立を阻止する方針を早々と打ち出し、与党側との話し合いにも積極的ではありません。しかし、参議院の主導権を握り、国会運営にそれだけ責任を持つ民主党です。始めから棒を呑んだような対応では、論戦を通じて政権担当能力を示す野党第一党の役割が果たせないのではないかと思います。
 私も責任は双方にあると思うが、どちらかと言えば、最初から国会運営を政争の具に使った民主党の方の責任が遥かに大きいと思う。
 NHKが指摘するように、道路整備と福祉予算のバランスなど今後国会で大いに論議して貰いたいものだ。

・問題は、私たちが納めた税金をどう生かして使うか。その配分の仕方に関わる事柄です。話し合いの余地が全くないとは思えません。実際、与野党とも、必要な道路を作ることまでは否定していません。野党が求めている道路特定財源の一般財源化についても、与党内でも同じ意見があります。
・であれば、どこまで道路が必要なのか。そのための財源はどこまで確保すべきなのか。与野党でとこと
ん話し合って、最後は国民の判断に委ねるという方策を取れないものでしょうか。
 民主党は暫定予算継続反対なら、その財源を明示した対案を出すべきだ。

・国会で十分な議論もないまま、つなぎ法案で延長をはかろうとした与党のやり方も、解散・総選挙に持ち込むことがすべてという民主党のやり方も、政党の党利党略が先に立ちすぎているように思います。
まず、国民の前で議論をして、問題点を明らかにしあう。そして、与野党でより良い方策を探りあう。そういう国会としての当たり前の姿を是非取り戻して欲しいものだと思います。

 NHKの解説の表現に従って言えば、自民党は議長の仲介に従って批判されていた「つなぎ法案」を撤回した。
 後に残るのは何が何でも解散、総選挙に持ち込むと言う、いままでの民主党の党利党略だけが残る。
 然し自民党も一枚岩ではない。
 中でも何が何でも道路という道路族がいる。
 今こそ福田さんが党内でのリーダーシップを発揮しないと、世論がどう変わるか判らない。
 衆参両議長の仲介という新事態で自民党、民主党がどのように出るかによって世論の支持の動向が大きく変わるような気がする。

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