普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本の社会格差

2008-02-13 18:44:39 | 政策、社会情勢

 2月8日の読売新聞の経済格差「不満」 日本83%で概要次のような記事が載っていた。
 
読売新聞社は英BBC放送と初の共同世論調査を実施した。経済的な格差に不満を感じる人は、日本では83%に達し、サミット参加8か国ではイタリアの84%に次ぐ高い数値だった。調査を行った34か国の中でも4番目に高く、格差問題の広がりに、国民が不満を募らせていることがわかった。
 不満を感じる人が最も多かったのは韓国の86%で、イタリアとポルトガルの84%に日本が続いた。主要国ではフランス78%、英国56%、米国52%などだった。

 「依存症の独り言」の坂 真さんがこの問題を取り上げられた、 「格差に不満83%」は良い傾向だで面白い事を言っておられた。
 経済格差と社会格差は逆比例しているので、日本がこの数字について心配することは何もないと言われるのだ。

 私はこの社会格差の問題について書いて見たい。

 私の現役の時代に延べで約4年半海外の技術援助でブラジル、イランとシンガポールに出張したことがある。
[人種による差別]
・私が住んでいたサルバドルはブラジルの古都で、昔はアフリカから奴隷のの受け入れの基地だけあってブラジルでも黒人の多い所だ。
 また同市は亜熱帯にあり然も大西洋に面していたので、一年中海浜は裸の人達で溢れていた。
 そこで眼を惹くのは、例えば、白人と赤銅色をした土着夫婦の間で生れた、肌の白い金髪の子、肌の黒い縮れ毛の頭の子、赤銅色の肌をした子が一緒泳いだり、日光浴をしている子がいることだ。
 詰まりブラジルでは完全に混血が進んでいるのだ。
 私のカウンターパート課長は「米国は自由、自由と威張っているが、実際は一部の例外を除いて殆どは白人は白人同志、黒人は黒人と結婚するのだ。それに比べてブラジルでは人種間の差別は全くなく、本当の自由を持っている」と自慢した。
 然し彼の自慢が別の形で裏切られるような事態が起こった。
 私たち日本人グループが派遣されて一年経ったのを記念して、皆が一緒に住んでいるマンションでパーティーが計画され、私たちの部屋の前の現地の家族の人達も招待された。
 実は、その家族の中にミス・バイアー(州の名前)と呼ばれる美女が来てくれることを皆期待していたのだ。
 然し、事実は彼の家族からはそこの女中を除いては誰も来なかった。
 その理由は後で判った。
 私たちは日本の習慣に従って、関係者として通勤時の車の運転手やその家族、私どもの女中まで呼んでいたのに隣の家族が参加するなど彼らのプライドが許さなかったのだ。
のだ。
 私の仕事の相手の言を借れば、米国よりより差別のないブラジルより日本人はもっと差別など思いつきもしなかったということになる。
・イランに一番印象に残ったことは、現地の作業者が「欧米の技術者が現地の人達を豚のようにこき使うが、日本人は我々を人間として扱ってくれる」と言ったことだ。

[社会格差]
・サルバドルは昔の古都だけあって、街の中心部は黒と白の石で舗装された綺麗な通りがある一方で、その街の直ぐ裏では、雨水で抉れた赤土の道を挟んで掘っ建て小屋のがあり、現地の人達が、工事の後取り外すのを忘れていたと思われる、水道の蛇口を捻って水を盗んでいたり、子供達が丸めた新聞紙をボール代わりにしてサッカーをやっているような完全な格差社会を眼にした。
 私はそれを見ながらこの差別について誰も何も言わないのだろうかと首を捻ったものだ。
 なお余談だがブラジルで有名なカーニバルはこう言った貧民層のガス抜きのためだと言うのは日本でも知られた話だ。

[階級による差別?]
・工場でも、食堂は職員、工員は別々の食堂、下請けの工員は野天での食事はイランでも同じだったが、ブラジルで驚いたのは、工場長は自室備えつけのトイレ、職員専用のトイレがあり、工員から使われないように各自が鍵を携帯していることだった。
 一方シンガポールでは日本人が運営まで握っていたので、食堂やトイレの差別は一切無かった。
・日本では学歴が良く問題になるが、私のいた三カ国とも、学歴による給与の差が大きく学歴は階級に繋がっているように感じられた。
 現地に派遣された日本人が一番困ったのは、現地技術者が現場にでないために、技術者の育成が出来なかったことだ。
 詰まり作業員の仕事を見たり監督するのは技術者の沽券に関わると言う訳だ。
 勿論、技術者が経験不足のために現場に出て作業員から仕事のことを訊かれも困ると言う事もあったかも知れない。

 日本人はほぼ日本人だけの同質社会に住み、昔の士農工商、地主対小作農、問題などの差別問題を一応クリアしてきて、現在は一部の差別をされていると思っている人達を除いて差別や格差など余り感じない社会で暮らしてきた。
 その日本人が米国などでセクシャルハラスメントなどで訴えられるのは、この種の問題に慣れてないこともあると思うし、今回の読売新聞の調査で日本人の経済格差への不満が多いのも、かっての一億総中流意識が崩れかかっているのが他国民と違ってて、経済格差の拡大に異常に敏感になっているのだと思う。

[格差についての考え方]
 坂 真さんは日本は格差を固定化しない「日本は自由で優しくて、機会も平等な良い国です」と書かれた。
 何故なら皆、努力次第で、東大にも行けるし、在日二世でも帰化すれば国会議員にも行ける書かれている。

 私も格差を固定化しなければ、本人の努力や能力である程度の経済や社会格差が出来てもしょうがないと思う。
 何故なら、努力や能力が報われない社会は沈滞、衰弱するに決まっているからだ。
 格差に付いては、坂 真さんの言われるように格差が固定しないように能力ある人が東大でもどこでも希望する所へ行けるように均等な教育環境を整えでやることだと思う。

 具体的に言えば、能力のある公立の高校生でも努力すれば塾などに行かずとも希望の大学に進める環境を整える事だ。
 さらには能力のある公立の中学生でも努力すれば塾などに行かずとも希望の高校に進める環境を整えることだ。
 有名な杉並区の和田中学では藤原さんが都の教育委員会の反対を押し切って、安い費用で塾の教師を呼んで夜間の教室を開いた。

 私は更に補習の費用を下げるには現役の教師の参加が必要と思う。
 考えて見れば中学校の目的からみれば全く当然の責任だと思う。
 格差社会の固定化の脱却→教育格差の脱却
を妨げているのは何だろうか。
 国、教育委員会、日教組、それとも教師?

参照: 「七十過ぎて中学校教師」の紹介 
       
都立和田中学校の教育実践

なお坂 真さんの「依存症の独り言」のブログは何時も識見に富んだ記事で大変勉強させと貰っていますが、今回の記事は特にご自身の体験を交えた素晴らしい記事です。
ブログ・ランキングから言えば遥かに格下の私がトップ3のブログを推薦するのは全くおこがましいですが、是非ご覧になることをお勧めします。

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