普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

あたご艦長と犠牲者の家族と政治家

2008-02-28 18:21:26 | 政策、社会情勢

 昨日のテレビでイージス艦「あたご」の舩渡(ふなと)艦長が、犠牲者の家族と、漁業組合々訪れ謝罪したシーンが放映された。
 読売新聞はその件について、そのタイトルの核心語らぬ9日目の謝罪…不明親子宅に艦長訪問
にあるように艦長に批判的な報道をしている。
 私はその中で艦長、家族の対応の所だけ拾ってみた。

[艦長と犠牲者の家族と漁業関係者]

・艦長は事故から9日目の27日午後、事故で行方不明になっている吉清(きちせい)治夫さん親子の自宅を訪れ、涙ながらに謝罪した
 彼は玄関前で脱帽し、一礼して中に入ると、家族に何度も頭を下げた。
・家族が「漁師が安全に働けるような海をつくって下さい」と求めると、「約束します」と目に涙を浮かべて答えたという。
・兄の高志さんは「(謝罪が)遅いとは思わない。十分な謝罪に家族の気持ちも整理がついた」と静かに語った。
・艦長はそれ以後の記者会見でこの事件については全て艦長として自分に責任がある戸応えた。

以下は朝日、毎日、産経新聞による。
・その後艦長は新勝浦市漁協川津支所を訪問して同様に謝罪した。
・外記栄太郎組合長は「日本の指折りの船と千分の1しかない小型の船がなぜ衝突したのか原因を明らかにすること、遺体が発見されるまで自衛隊の捜索を継続して欲しいと要求に対し艦長が約束した。
・そのご組合長は報道陣に「十分な誠意をみせてもらった。気持ちの整理もついた」と話した。

 これだけの報道を見ると艦長の当然とは言え、全ての責任を認めた潔さ、真心から家族や関係者に謝罪した艦長の態度は理解できる。
 またいいたい事も一杯あったろうに、艦長の謝罪を受け入れた犠牲者の家族や組合長の発言は立派だったとしかいいようがない。

[政治家の動き}
 一方国会では 与党のガソリンの暫定税率を維持する租税特別措置法改正案などの税制関連法案と合わせて、月内の衆院通過を目指し、野党側はイージス艦衝突事故に関する集中審議などまだ尽くされてないと、与党側にに反発している。

 政治の素人の私から見れば、予算案の審議とイージス艦衝突事故の審議は全く関連がない筈だが、予算委員会の審議状況だけテレビ放映されるからだろう。
 詰まり野党はテレビの前で政府側の問題点を炙り出し、次の選挙のために政府、与党の失点を強調したいのに違いない。
 彼らは二人の尊い命を犠牲にしたイージス艦衝突事故問題を完全に政局を野党側に有利に働くように利用されているのだ。

 もしこの問題をテレビを通じてどうしても国民にアピールしたいのなら、与党が衆参両院で多数を占めている昔と違って、野党が多数を占めている参院の予算委員会で、それこそ野党の思う存分に審議すれば済むのに何故衆院のイージス艦衝突事故審議に拘るのか。
 勿論野党は与党の予算関連法案の強行採決を阻止したにだけだ。

 なお民主党の鳩山さんは、「もし与党が強行突破するなら、われわれは日銀総裁人事を素直に聞く気になれない。総裁人事だけは別問題といわれても別の判断をする気になれない」と述べ、国会同意人事の手続きには応じられないとの考えを強調した。
 つまり野党は日銀の総裁人事もイージス艦衝突事故問題を人質にして、国会運営を有利に動かしたいのだ。

参照:民主・鳩山幹事長「予算採決強行すれば日銀総裁人事に影響」
産経新聞

 前述のあたご艦長の謝罪、犠牲者の家族、漁業関係者の立派な対応に比して、国会のイージス艦衝突事故問題への対応は余りにも違い過ぎている。

 私が首を捻るイージス艦事故の報道姿勢
に書いた
・今回の事故はイージス艦に主たる責任があるとの批判
・乗組員の行動、上部への報告の遅れ、防衛省体制の不備などについての批判
などを野党が攻撃するのは当然だと思うし、これが政治だと言えばそれまでだが、イージス艦事故が政治のおもちゃにされている報道を見た犠牲者の家族や漁業関係者は一体どう思っているのだろうか。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ
政治ブログへ