普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

農村再生の取り組み

2008-06-02 12:17:11 | 地方分権と再生

[農村再生の取り組み]
 昨夜のテレビ朝日の「シリーズ日本の食2008」で、食糧自給率39%の問題を取り上げて、俳優の阿藤 快さんや西田 ひかるさんなどを中心で埼玉県や大分県の日田市大山町の先進的とり組みを放送していた。
 埼玉県では某企業が耕作放棄地を借り上げて大規模農業を行い土地の再生や、要員の採用など若者や老人に仕事場を与えている。
 その成功の条件は、首都圏と言う大消費地を抱えていたこと、農協や仲買などの中間機関を通さずに直接小売業と直接売買による経費の節減などだ。

 それに対して、日田市大山町は文字通りの山村だが、農協が中心になり、農家が直接値段をつけたどのような品種や少量の品物でも、全て受け入れ、大分県や福岡県の各所の直売所に出荷し、形が不揃いなどで売り物にならないものは、調理の上同直売所で土地の名物料理として街の人々に供給するなど非常な評判を呼んでいる。

 大山町は阿蘇→日田市→福岡県を結ぶルート上にあり、その直売所は殆ど全てのツアーのバスが止まり、一般観光者達と相まっての買い物で大変賑わい、一種の観光地化している状態だ。

 Wikipediaによると、大山町では、政府がまだ米の増産を推進していた1961年に、米作には不適な山地の地理的特性を生かして、作業負担が小さく収益性の高いウメやクリを栽培し、さらに梅干し等に加工して付加価値を高める運動を開始した。「梅栗植えてハワイに行こう!」というユニークなキャッチフレーズで知られるこの運動は、農家の収益の向上に寄与し、大山町は全国で最も住民のパスポート所持率が高い町になった。この運動は、後の一村一品運動の原点としても知られている。
そうだ。

 大山町の成功の理由は農協が中心となった先進的取り組み、仲買を排して消費者への直結販売による経費削減と農家の収入の増加→これを利した多品種少量の品物の販売の成功→小規模農家の参加だと思う。

[大山町農協の経営理念]
 特筆しなければいけないのは、農業共同組合の体質の問題だ。
 昔は、(そして多分一部では今でも)政府の補助政策に胡座をかいて圧力団体化していた。
 私が農協関係者の雑談を横で聞いた話だが、彼は役場の机に上がり込んで、農協の名をちらつかせながら、吏員たちに「俺を何と思っているのか」とすごんだそうだ。
 組合はまた営利団体化した所もあり農業機械を売るだけで、細長い日本の気候のずれに対して、全国的な機械を有効活用など無視し続けた。
 最近の農村再生の番組でも仲買人化した農協を脱退して直接消費者の提供する農家の人達の報道を良く見聞きする。

 そこで一昔の悪名高かった一部農協と大山町の農協がどれだけ違っているのかそのホームページの
[おおやまの心]
 
の概要を紹介する。
 
大山町はその名の通り山だらけの町です。
 気候風土のまったく恵まれないこの町に貧しさから立ち上がろうとする運動がおきました。

多品目、少量生産、製品に付加価値をつける
・多品目、少量生産
 いごこの土地の柱となる作物を探し、梅、栗栽培の道を開いてきました。
 いま出荷される約100種のこまごまとして農産品。
 それは45年前からはっきりした考えが打ち出されていたのです。
 それは少量生産、多品目栽培、価値販売。 (付加価値を付けての販売の意味か)
 
国の指導の大規模生産団地とは全く逆の考えでした。
 柱となる梅、栗以外でも、少ない土地を最大限にいかしていろんな物を作ろう。
 心をこめて安全で品質の高いものを作る、
 それが私たちの物作りの姿勢です。

・製品に付加価値をつける
 自分たちが作った農産物を自分たちで加工する。
 その方式はイスラエルのキブツから学んだものです。
 大山町農協と町営、民間のものを合わせると10センターが農家の工場と結んでいます。
 新開加工場では、果物や野菜、ハーブを使ったジャムやジュース、菓子、パン、アイスクリームなどが作られています。

・心を豊かにする運動
 大山に少し風変わりのところがあるとすれば、農業収入をあげると同時に、「心を豊かにする運動」を始めた事です。
 都市生活者のように清潔で快適な暮らしをし、心にゆとりを持った農業者になりたいと言うのがその大山のビジョンでした。
 「梅栗を植えてハワイに行こう」とキャッチフレーズを作り実行したのもその考えからです。

・後継者の育成
 昭和44年の3人の若者がイスラエルに出かけて以来ほとんど毎年若者たちが世界に送り出されています。
 体験学習、からだで覚えた世界のスケール。
 こうして自由な発想をもった若者たちが育って行くのです。

・直売所の開設
 90年に「木の花ガルテン」をオウプン。とれたての農産物、農産加工品、手工芸品など農業者によるバザールです。
 焼きたてのパン、アイスクリーム、ジュースなどのテーブルの用意されています。

[私の意見]
・農業と製造工業の関係
 もと工場勤めをし、後開発途上国の技術協力に関わり、工場経営に強い関心を持っている私が、このホームページを見て直ぐ気がつくのは、農協と日本の工業製品を作っている企業の立場と良く似ている所だ。

 バブル時代多くの企業は自分の得意分野でない多方面に手を出してその殆どが失敗に終わり、バブル崩壊で手放した。

・大山農協の優れた点
 大山農協の考え方は、発展途上の活気に満ちた日本の新鋭工場の雰囲気良くにている。
 長期的視野に立った、そして自分たちの持っている技術の範囲や周囲の環境にあった新製品の開発だ。
 そしてその製品に出来るだけ高い付加価値を付けるか衆知を集めて努力する。
 その一方で次世代を担う若者の教育にも力を入れるなどだ。

 大山農協の偉い所は、農村と言う伝統重視の風土の中で、可なり多く農協が自身の存続と加入農民のために補助金獲得に躍起になっている所で、自立を目指しそして成功した所だ。
 それともう一つ凄いのは一般の都市型の企業が競争力強化に明け暮れて、従業員の心の豊かさの涵養まで手が廻らない所か、全く放棄状態になっているのに、農村の団体らしく農民の心の豊かさまで追求しているところだ。

・農村と製造業の協力
 私は何回かに渡って、農村が製造工業のノウハウを導入すること、時世や地域の環境に往時で大規模農業から、棚田の持ち主制度などまで多岐に渡る活動をすべき、そしてそれついて行けない高齢者に対しては、農村の収入の増加分で援助すべきだと書いてきた。

 その点から言えば大分県日田市大山町とその農協の取り組みは大変参考になると思う。

 このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ

政治ブログへ

しばらくコメントは事前承認にしておりましたが6月1日から外します。TBとともにどのようなコメントも真面目なものであれば大歓迎致します。但し他の訪問者の感情を害するようなものは管理人の責任で削除させて頂きますのでご了承下さい。