米国は遂に北朝鮮のテロ支援国指定解除に踏み切った。
それも各社の社説が指摘するように、北朝鮮が核開発計画の申告にまだ不十分な所が多く残っているのにだ。
これについて日本は米国に拉致問題が解決するまでテロ支援国指定解除に踏み切らないように、拉致問題について更なる支援を要請した。
それに対してブッシュさんもライスさんも「日本の拉致問題」のことは忘れないし、問題解決に向けての支援を約束したが、どれだけやってくれるかの保証はない。
これで米国の軍事的圧力の背景のもと、米国と連携した経済制裁の圧力に頼ってきた日本の拉致問題に対する政策の変更を余儀なくされることになった。
これに関して読売新聞は概略
米国が、北朝鮮に対する有力な外交カードだった「指定解除」を手放し、一段と対北融和姿勢を見せていることで、日本が取れる選択の幅は狭まっている。
町村官房長官は26日、日本の経済、エネルギー支援が今後、「外交カード」として力を増すとの考えを示した。
今までの6か国協議では、協議が進展した場合、周辺国が経済協力やエネルギー支援を行うとした。しかし、最大の資金供出国となる見通しの日本は、拉致問題の進展抜きでは支援に参加しない方針を明確にしてきた。今後の対北交渉では、この点が最大の切り札となる見通しだ。
ただ、日本側が再三反対してきた拉致問題の進展抜きでのテロ支援国指定解除が、今回あっさり行われたことで、日本側には「日米同盟よりも、北朝鮮との関係を優先した」(首相経験者)との不満が募る。
日本側は表向きは、「日米に亀裂が生じたと受け止められれば北朝鮮を利する」(外務省幹部)として冷静さを保ち、米国との連携を維持・強化する方針だ。
と報じている。
[日米関係強化のために日本がやってきたこと]
・小泉さんはアフガン米国の侵攻を支援し、イラクには野党の猛反対を押し切って自衛隊の派兵を決定した。
その理由は、戦争による紛争の解決手段のない日本が、ミサイルや核開発をし始めた北朝鮮に関する米国の安全保証を確実に得るためだった。
またその為に日本は投機資金の横行と日本の「困った米国との関係の見直し」で書いた様に世界から恐れられ嫌われている米国と同盟関係を結んできた。
・日本は経済的な理由もあると思うが、米国との関係を維持するため約9824億ドルに上る外貨準備高の殆ど全てを米国債の購入にあて、しかも国内では800兆に及ぶ借金を持っているのに米国債の運用もしないままだ。
・あるテレビ番組で某批評家が国内の資金需要が緩んだ今、日本がもし長期金利を僅かでも上げたら、米国の景気が更に悪化するだろうと言っていたが、そうしないのは上と同じ理由だろう。
最近の話では、
・洞爺湖サミットで、環境問題についてリーダーシップを取らねばならぬ日本が、国際会議で環境問題に消極的な米国の立場を支持して、すっかり信用を落としてしまった。
・食糧危機に当たって政府保有の輸入米をを放出するについて、その最大輸出国の米国の了解を得るなど、米国との関係に非常な留意を払ってきた。
米国の拉致問題へ介入
拉致問題に関しても、小泉さんの訪朝で急展開し始めたかに見えた日朝関係も、彼の帰国後何日も経たない時、米国の高官(多分アーミテージさんだったと思うが)が来日して、その後の展開が急に止まってしまった。
これは私の憶測(多分当たっていると思うが)だが、今日に至っている北朝鮮の核問題解決に当たって、日朝の接近は好ましくないという圧力が日本政府にかかってきたのと思う。
[テロ支援国指定解除と日本]
そしてまた拉致問題の展開に急ブレーキを掛けたのが、今回の北朝鮮の態度の変化を歓迎した日本政府の北朝鮮に対する制裁の一部解除の発表だ。
これが米国政府に、同国が北朝鮮のテロ支援国指定解除に踏み切っても、日本が依然として米国に追随してくれると言う誤った感触を与えてしまった。
そして、マスコミ、世論は勿論与党からも政府の考えに反対の声が出て、慌てて米国に要請と言う形のお願いになったのだ。
定評がある日本の外交下手はここまで来ると呆れるばかりだ。
然し動きだした超大国の車は止まらない。
町村さんの言う日本の経済、エネルギー支援の外交カードなどしたたかな北朝鮮にとっては無視され、逆にテロ支援国指定解除に伴う米国や中国、ロシヤや欧米諸国との通商拡大で、日本だけが経済制裁をしても、その効果は大きく薄れ、日本の孤立化に終わると言う足元を見透かされているだろう。
ここまで来ても日本は唯々諾々と米国について行くのだろうか。
米国の「日本の拉致問題は忘れないと言う」言葉を信じる他、町村さんの言う対策のほか打つ手はないのだろうか。
外務省幹部の言う様に「日米に亀裂が生じたと受け止められれば北朝鮮を利する」として冷静さを保ち米国との連携を維持・強化するしかなにいのだろうか。
唯一つある。
それは政府は日米連携の強化を強調する一方で、政治家や識者マスコミに日米関係の見直しを匂わせる事だ。
核開発を含む武力の強化の必要性や、米国一辺倒からからアジアやEUにも重心を移す事、外貨準備を今までの米国債から、一部をEU債にも廻すこと、日本の持っている米国債の運用を図ることなどなど、米国と友好関係を保ちつつ一定の車間距離を持たせる意味のことを言わせることだ。
外交は一枚岩が望ましいが、他に手だてのない日本は、両面作戦も必要な気がする。
問題は各マスコミの言うように、米国のテロ支援国指定解除発効までの45日間の勝負だ。
政府、与野党とも協力して何とか米国に方針転換をさせるように図って貰いたいものだ。
それにしても、私のような責任のない一民間人でさえ、今にもなって日本の問題の処理を結局は外国に仰ぐと言う、独立国日本として格好の良くない提案をしなければならないとは情けない限りだ。
やはり上記のブログで書いたように本当に米国との関係を見直し、外交面でも一人立ちを考えるべきだと思う。
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