普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

原油価格の高騰

2008-06-04 11:13:19 | 政策、社会情勢

 原油価格の上昇が止まらない。
 某テレビでは二人の解説者とも1リットル200円までは上がるだろうと予測していてた。
 これに対して6月4日の産経新聞の社説
では概要次のように警告している。
・原油価格が1年前に比べ倍以上に高騰した要因は中国やインドなどの新興国の経済成長に伴う需要拡大だけではない。投機資金が原油市場に大量に流入し、相場を実体以上に押し上げているためだ。
・これについては、経済産業省の19年度版「エネルギー白書」でも、価格の3分の1強が「需給バランス以外の要因」と指摘し、投機資金の流れに強い懸念を示している。
・この投機資金の源流は、米国のサブプライムローン問題である。これに端を発する金融危機で株や債券が下落した。
・投機資金は金融市場から原油や穀物などの商品市場に移動し、結果的に原油価格上昇に拍車がかかった。
・価格の上昇はガソリンや食料などの生活必需品の価格も押し上げ、世界的にインフレ懸念が強まっている。日本経済も消費が抑制され、景気減速が強まりかねない情勢だ。
・問題は即効性のある処方箋がなかなか見当たらないことだ。投機資金の流入を抑えるには、金融の引き締めは有力手段の一つだが、サブプライム問題が収束するまで金融緩和は持続せざるを得ない。これが各国の中央銀行のジレンマになっている。
(私は日本を含めての世界の金融緩和政策は可なりの長期に渡ると思っている。)
・投機資金は市場にダイナミズムを与えるが、その規模が過大になると価格変動を増幅し市場を不安定化させる。投機資金の監視を強めることは、市場の秩序維持には必要な措置であろう。
・7月の洞爺湖サミットでは、主要議題の一つとして投機資金の監視強化や管理のあり方を議論する必要がある。

[ヘッジファンドの動き]
 原油の高騰に関して日経ビジネス
では次のように解説している。
・この10年で最もグローバル化し、高度化した業態は金融業だ。製造業は雇用や物流がついて回るので完全なボーダーレス化は難しいが、「マネー」という商品に国境は無い。そしてこのマネーが今、世界中でだぶついている。
・世界中の投機マネーがオイルに向かっている。その象徴がヘッジファンドだ。この当局の目が届きにくい得体の知れない資金の実態は誰も正確にはつかめていない。
・現在、ヘッジファンドの運用資金の総計は約132兆円あり、そのうち5%の約7兆円を何倍ものレバレッジ
をかけて原油相場に張っている。

[投機規制の動き]
 この原油高騰に対して産経新聞

 原油価格高騰をめぐり、米商品先物取引委員会(CFTC)は29日、投機筋による取引の情報収集を強化すると発表した。米議会では、実需とは無関係な投機資金の“マネー・ゲーム”を問題視する声が高まり、英金融サービス庁(FSA)と連携して商品先物市場の透明性を高め、相場操縦の監視も強化する。
 CFTCはFSAやロンドンにある石油取引所との間で、米国産標準油種などエネルギー先物取引の情報交換の拡大で合意した。

と報じている。

[私の意見]
高見の見物?の日本

 原油価格高騰は付いては上記のように米国や英国などで問題視されている。
 読売が指摘するように、日本の経済にも大きな影響を与え、さらにそれが深刻化するかも知れぬの言うのに、日本ではこれに対する動きは殆ど見られない様だ。
 それと言うのも主な原油先物市場は、テキサス州産原油をベースにするニューヨーク商業取引所と北海原油を標準とするロンドン国際石油取引所に限られているからかもしれないが、あまりに日本はのんびりし過ぎではないだろうか。
 詰まり日本の手の届かないの出来事であり、政府や政治家たちは日本に取っては台風や地震のような天災と思っているような気がしてならない。
 これに比べれば日本国内でのガソリン税の廃止や復活などコップの中の争いのようなものだ。

 それとも私が昨日書いたように、政治家もマスコミも膨大な国の借金、少子高齢化など深刻な問題を、どうにもならない事実として考慮の外にでも置いているのだろうか。

 勿論日本の経済力や世界への影響力では、世界的な投機資金の動きに対しては無力なのかも知れない。
 然し日本は洞爺湖では議長国としてやりたい放題の原油や食糧への投機資金のの動きに対する何らかの規制策へのリーダーシップを取って貰いたいものだ。

石油枯渇問題を基本的に考えよう
 私は6年8月のその場凌ぎの政治から抜け出すために
のエントリーで
 今、原油高が進み世界的な問題になっています。
 この問題で一番根が深いのは石油資源の枯渇です。
 この問題が致命的になるのは何時か判りませんが、そうなに遠くないのは確かなようです。
 この問題が必ず来る事、そして大変難しい問題なのは私ども素人でも判ります。
 それと、経済大国かつ資源小国の日本に最初にその影響を受けるのも間違いないと思います。

と書き温暖化、少子化、「いつまで米国に頼って行くのか」などのその種の基本的な問題をを長期的視野で研究するシンクタンクの設置を主張した。

 そしてそのような誰でも考えつく石油枯渇問題に付随する一つの現象(原油不足→投機)として原油価格の高騰が問題になっている。

 福田さんは今回の食糧サミットで、廃材や稲藁を利用したバイオ燃料の実用化に取り組む考えを示したそうだが、その実用化は非常に難しいような気がする。
そのような思いつきでなくて、
・原発のあり方、その廃棄物の処理方法(素人のトッピな考えだが廃棄物の非核化など原点に戻って研究すれば良いと思うが)
日光、風などの天然現象の有効利用(これらはある程度進んでいる)
・石油の代替え燃料や石油以外の工業原料の開発
・省エネ技術(これはある程度確立し日本が優位な立場にある)
などの基本的な研究を地道にやるべきだと思う。
 私としてはエネルギーの利用に関しては実用的には原子力を中心にするしかないと思うのだが。

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