普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

どうする日本(2)

2008-06-09 11:39:54 | 政策、社会情勢

[経済発展と環境保全はバランスできるか]
 土曜日の夜、日本対オーストラリアのバレーボールの熱戦が終わったあとNHKにチャンネルを切り換えると「日本の、これから スペシャル「温暖化問題」」を何時もの三宅民夫さんと武内陶子さんの司会でやっていた。
 丁度「経済発展と環境保全はバランスできるか」の質問に「出来る」「難しい」の二つの立場からの議論が行われていた。
 その発言を聴いてみいると、この質問に対して明るい立場で考えるか、暗い立場で考えるかの差で、どちらの側も同じことを言っていた。
・環境資源問題を考えると経済発展の方向も変えねばならぬし、成長の割合がずっと落ちるだろう。
・地球の資源は有限だから、開発途上国の発展とともに、それを分け合う必要がある。
・地球環境悪化にともなう経済発展にブレーキを掛けるなどは先進国の論理で、これから経済発展をして生活を豊かにしようとしている後発国にその論理を押しつけることはできない。
・日本としてはデンマークなどの北欧諸国に学ぶべきだ。
などがその主な議論の内容だった。
 北欧諸国に学ぶべきと言うのは一考の価値があるがその他の議論はいずれも正論だ。

[経済環境の平均化]
対韓国
 つまり地球全体の経済状況とその程度は速度はとにかく平均化してくると言うのだ。
 日本の例で言えば、朝鮮戦争以後は韓国との競争だった。
 製造業では日本の同業者は韓国の造船などのは苦しい戦いを強いられた。
 然し韓国の経済発展に伴う国民のその収入の増加で日本との競争力は或る程度でバランスして今に至っている。
 日本にとっては、幸い韓国の人口が少ないため早く日本-韓国のバランスが早い内にしかも日本にとって大きな影響がでないうち行われた。

対中国とインド
 次に一国二制度を掲げた中国の台頭だ。
 膨大な人口、格段に低い賃金レベルを持つ中国とある程度バランスしてくるまでは、日本に取ってその影響は大きく、時間も長く掛かる。
 それが端的に事実として現れているのが、日本の非正規労働者の増加→日本の平均給与の低下、石油などの各種資源の不足→価格の高騰などだ。
 詰まり日本人の生活面から言えば収入の減少、支出の増加→貧困化への道だ。

 次は中国と似た条件を持つ膨大な人口と貧困層を持つインドの台頭だ。
 中国の発展を妨げていた共産主義と同様に、インドの発展を阻害していると思われるカースト制度などはいずれなくなるか修正されるだろう。
 そうなればインドの成長は加速度的に上昇してきて、世界、特にアジアの経済に大きな影響を与えるのは間違いないと思う。

[どうする日本]
 日本側から言えば、中国や将来のインドに対する競争力の低下→貧困化→それを脱却するために中国やインドの経済に依存という綱渡りの経済運営が続くことになるのだろう。

経済成長論者の主張
 日本政府は依然として政策の柱に日本経済の成長を基本に置いている。
 経済発展で、日本を支えるべきだと主張する人達は、そのベースとして国内消費の拡大と、日本得意の製造業の重点をこれも日本得意の環境関連機器の製造輸出に重点を置くべきと唱えている。

国内消費の拡大
 国内消費の増大は、米国のGDPの大きな部分を占める消費をモデルとして考えているのだろうが、消費の拡大-資源の減少-環境の悪化とのバランスをどうとるのだろうか。
そして私が指摘したように、国民の収入の低下→貧困化、人口の減少→消費の低下の問題をどのように考えているのだろう。

輸出の増大
 輸出の問題にしても、これまで輸出の主力となっていた自動車の輸出量と環境関連機器の輸出量はそのそのニーズの量を考えると、天と地ほどの差がある。
 詰まり燃費の良い、公害の少ない自動車の輸出を除くと、環境関連機器単体の輸出の増大など日本経済全体からから考えると殆ど影響がないといっても良いと思う。

 経済発展論者は自分の議論にとって都合の悪い事には眼を瞑っているのだ。

思考停止の政治家
 環境問題、資源枯渇、今後も続きそうな食糧危機、Bricsの台頭による世界経済の変化、どうにもならない投機資金の動きなど世界的な大きな問題のある中で今の日本の政治家達は思考停止の状態だ。
 その一つには捩れ国会で政治家たちは次期政権の奪取と防衛に明け暮れている事と、膨大の国の借金で身動きが取れない事だ。
 前の問題は政治家たちの見識の問題だが今回は触れないことにする。

[突出した債務残高]
 借金については国の予算の4分の1を占めており、これが政府、与党が何をしょうとしても足を引っ張っている。

 しかもその借金は下の表のように他国に比して突出しておりしかも他国と違って一本調子に登っており、小泉さん時代でさえも依然として増加しており減少の傾向が見えない事だ。

OECD諸国の医療費対GDP比率 (2005年)と債務残高の対GDP比率
       医療費 順位  債務残高(1995) 同(2000) 同(2007)
米国     15.3   (1)              70.7           55.2       61.8     
ドイツ    10.7   (4)              55.7           60.4       69.9
カナダ    9.8    (9)            101.6           82.1       66.3
日本      8.0   (21)             87.7           137.1    177.6
参照:医療費の対GDP比率の読み方
 

 これでは世界情勢や、日本の貧困化、少子高齢化に伴う福祉厚生予算の逼迫など国民に明るい未来はない。

[債務残高の減少]
 突出した債務残高問題を解消する一般の方法は、
1.経済の成長に伴う税収の増加で借金を返す
2.徹底した緊縮予算の余った金で借金を返す
3.増税した分で借金を返す
3.インフレ政策で借金をただ同然にして大量に印刷した円で返す
と言われている。

 勿論日本としては3.のインフレ政策は取れないので、経済成長路線と、緊縮財政政策を取っているが、上記のような日本を取り巻く環境では経済の成長は多くは望めないし、今のような緊縮予算では借金の減少どころかその急増を防ぐだけしかないのが現実だ。
 逆に福祉利厚生予算の純増加分に2000億円の枠を嵌めるのを止めようとの案が与党から出る始末だ。

[私の意見]
債務残高縮小も考えた増税

 残るのは増税しかない。
 それが今議論されている所得税や環境税だ。
 私はまた素人の暴論だが、名目は何でも良いから増税をし、その増税分を福祉厚生の予算の充実に当てるとともに、少しでも良いから債務残高を減少させる方向に使ってはと思う。
 もしそれが所得税なら生活必需品は現行の5%据え置きでその他について、必要なだけ上げれば良いし、政府も与野党の人達も言わずともそうするだろう。
 勿論この増税については庶民生活や経済に与える影響が大きいので上手くやる必要があるが私の案の特徴は、当面は苦しくても近い将来には、国民に将来国の借金、国債費が減って、庶民から言えば、その分福祉厚生や教育に、企業から言えば中小企業の支援な一般企業の競争力強化のた施策に次第に自由に使えると言う希望が湧いてくることだ。

 先のNHKの討論会で、北欧を見習えとの発言があったが、そのいずれの国も高い所得税率で知られており、それでなお一応の経済成長もしており、社会福祉の充実で知られている。

日本人に希望を持たせよう
 今の日本はお先真っ暗で希望がない。
 最近の凶悪犯罪の多発は日本全体を覆う閉塞感もその一因があるような気がする。
 政府、与党は国民に希望を与えることと、そのメリットの大きなを知るべきだ。

参照:世界各国の消費税の税率一覧 

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