普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

秋葉原の通り魔事件と教育

2008-06-18 10:33:53 | 政策、社会情勢

 秋葉原の通り魔事件の発生からもう一週間が過ぎた。
 私も6月10日のブログ
でもこの問題に触れたが、テレビのニュース番組やワイドショーなどでは、彼自身やその環境の解説から、最近は彼の置かれた派遣社員の問題について触れ始めている。
 考えようによっては、その報道姿勢が彼の弁護にもなり、頭の良くない若者が彼の行動は止むを得なかったと信じさせるかのようなマスコミの報道を見て、また一言書いて見たくなった。
 勿論、彼のことは絶対に許せないと言うマスコミの姿勢は変わらないと思っているので彼らの批判ではない。

 まず彼のような特異な人達が何故出てきたか、非常に多くの要因があると思うが、ここでは教育ををキーワードで考えて見たい。

[教育の責任]
 ここでは戦後の親たちを第一世代とする。
・反省のない一貫した教育方針
教育の基本
 戦後直後:民主主義、権利重視と義務軽視、個人の重視、日本古来の美風軽視または無視
 現在:民主主義、権利重視と義務軽視、個人の重視、道徳教育反対に潜む日本古来の美風導入への抵抗感
と書いた様に、戦争直後と変わらず一貫した教育を行っている。
 戦後の教育方針を作ったのは占領軍かも知れないが、独立後以後殆ど基本方針を変えなかったのは明らかに日本の責任だ。

・第一世代の親たち
  私を含む多分多くの第一世代の親たちは敗戦のショックで自信がないながらも、戦後の教育を受けた子供達に民主主義も大切だが、日本の美風をわすれないように教えた。
 然し、一部の第一世代の親は戦争の反省から戦後の教育をそのまま受け入れ、それを子供たちにも教えた。

・親になった第二世代~第三世代の人達
 多くの民主主義に象徴される西欧流の考え方と日本古来の考え方の良いところをもった人の数が戦後以来の一貫した教育のために次第に減って来る。
 西洋文化一辺倒の一部の第一世代から育てられた人達は教育のお蔭でますます西欧流の考え方になってくるし、教育のお蔭でその数が増えて来る。

無責任な親の出現

 そしてその親がまた子供を教育するか教育を学校任せにする。
 親自身も権利や個人の重視の教育のお蔭で、子供のことより自分の生活優先する人、モンスターペアレンツに代表されるように、自分の責任を棚に上げて、他の責任を追求する人が増えて来る。今回の加藤智大容疑者はその代表的な人だ。

 中ではインターネットなどからの情報で、多くの問題点の真実を知って今まで習ってきた、権利重視、義務・責任軽視の教育の問題点などに気づく人達もでれば、同じネツトで彼のような人達が増えて来るのも事実だ。

[教育以外の社会劣化の原因]
 勿論、社会劣化の原因は教育だけでなく、
・宗教の衰退
 西欧では民主主義を補完する宗教があったのに、日本では占領時の神道の禁止がとけた後も、いかがわしい宗教を除く健全な宗教の存在が観光、結婚式、葬式、年末・年始以外忘れられてしまった。
 これは占領軍の責任と言うより日本の宗教関係者の責任が大きい。

・市場経済主義
 市場経済主義一本槍の政策と社会の風潮のために、金がすべて、企業の生き残りのためなりふり構わない→企業倫理の無視、軽視→派遣労働者の増加→社会格差の発生などという深刻かつ大きい問題だ。

[止まらない社会劣化]
 今、教育の影響や社会環境の悪化のなかで、日本古来の美徳を忘れ、西欧的な考え方の悪い面に影響された親が次第に増えて来ている。
 そしてそんな親たちの背中を見て育った子供たちがまた第三~第四世代の親になって社会の劣化が進んで行くのだ。

 然し現状は、幸いにまだ西欧流と日本古来の考え方の良い所をもった人達の数が多いから、世の中全体としてはまだ所謂モンスター****もまだ少ないし、加藤智大容疑者のような変質者の数も少ないので、世界の先進国に比べるとまだ落ち着いた安全な国でいられる。

 今私たちが考えねばならぬことは、社会劣化を加速させかねない偏った教育があってもそれにブレーキを掛ける宗教も、かっては社会教育にも影響があった企業の倫理観も乏しくなっていることだ。
 これを書いていて、一昔、朝日新聞が「若い人達が社会に出れば、企業で彼らを教育をしてくれるので、我々の少々行き過ぎた報道や主張も、若い人達へは丁度バランスが取れるからいいのだ。」との言い訳染みたコメントを見て呆れたことを思い出した。

 問題は今の儘で放置しておくと、戦後以来変わらない教育姿勢と、止まらない社会環境の悪化のために、健全な考えの人達の数が加速度的に減り、現状では思いもかけぬと言うほど少数の加藤智大容疑者のような連中が今後急速に増えて来る可能性があることだ。
 私たちは彼を非常に特殊な人と考えずに、社会全体の問題として捉えて考える必要があると思う。

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