普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

後期高齢者医療制度と民主党

2008-06-05 09:51:53 | 少子高齢化

7割の世帯は後期高齢者医療の保険料の負担減
  厚生労働省は4日、後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の保険料について、旧制度で国民健康保険(国保)に加入していた場合、7割の世帯で負担減になるとの調査結果を発表した。
 4種類の家族構成に、3種類の収入額を組み合わせた12のモデルケースについて、保険料額の増減を全市町村で調査。さらに、所得分布などをもとに、保険料の増減世帯数を推計した。
・全体では69%の世帯で保険料が減少
・年金収入292万円以上で負担が減った世帯の割合は78%
・同177万円未満の所帯は61%
 政府は当初、低所得者ほど保険料が下がると説明していたが、「国保料が安く抑えられていた大都市部で、低所得世帯の減少割合が約2割と低かったため」としている。
 厚労省は、与党の作業チームがまとめた、低所得者への負担軽減策を導入した場合
の試算も公表。全体での減少割合が75%と6ポイント上昇すると推計している。

[私の意見]
 詰まり全体で言えば、100-69=31%の所帯で負担が変わらないか増えたことになる。
 この発表に対して政府、与党批判の態度丸出しのテレビ朝日の「報道ステーション」では古館さんとコメンテーター役の加藤千洋さんが、以前の升添さんの「約70%の人達の保険料が下がるのではないか」の発言に厚生労働省は合わせた数字を発表したもので、その数字は全く信用ならないといつもの調子で攻撃していた。

 私は今まで批判され続けていた厚労省が如何に鈍感でも、今になってでっち上げの資料を発表する訳はないので、細かい点での間違いはあるかも知れないが、大きな点では合っているのではないかと思っている。
 勿論、政府、与党は野党やマスコミの攻撃に対して同制度の改正案を検討しているようだ。

[民主党の対応]
 それに対して高齢者医療制度の廃案を提案している民主党は、読売新聞
によると、4日、小沢代表ら幹部が党本部で協議し、福田首相に対する問責決議案を今月15日の通常国会会期末までに参院に提出する方針を固めた。
 衆院への内閣不信任決議案提出も検討している。後期高齢者医療制度などに対する国民の批判や不満は強いとして、福田内閣に対する対決姿勢を明確にする必要があると判断した
そうだ。

 同日の野党の協議で社民党は民主党案に賛成、共産、国民新党は条件付きで賛成した。
 その後鳩山幹事長は「後期高齢者医療制度」に対してが怒っている後期高齢者や国民を代表してこの決議案を通したいと述べた。
 これに対して町村信孝官房長官は記者会見で「やるならどうぞ」とにやにやしながら言っている。
 勿論政府も与党もこのような決議は無視する構えだ。

[私の意見]
被害者扱いの後期高齢者
  後期高齢者の該当者である私は、後期高齢者を如何にも被害者扱いにする野党やマスコミの発言に対して、大きな違和感をもっている。
 何故なら後期高齢者と言う命名や、問題山積の年金からの保険料天引きという役人の心ないやり方や、医療費を何とかして削減したいと言う厚生労働省の意志が透けて見えるのには抵抗があるが、私自身は被害者とは思わないし、被害者扱いにして貰いたくないと思っているからだ。

 もし厚労省の発表が大まかな点で正しいとすれば、後期高齢者が怒っているのは負担増になる31%の近くの人と、そうではないが私が書いたような厚労省の心ないやり方に怒っている人達で、鳩山さんの言うように、国民や後期高齢者全体が怒っていると言うのは間違いだ

福田さんへの問責決議
 福田さんへの問責決議案もおかしなものだ。
 民主党は野党が提出した後期高齢者医療制度の廃案を衆議院で否決されたら決議案を出すと言っているが、衆議院で野党提案を否決するのは自民党と公明党だ。
 詰まり野党の提出した法案を否決した自民党と公明党の内、自民党の党首の問責決議案を提出しようというのだ。
 これを逆に考えてみると政府、与党提案の法案を民主党主体で否決されたときに、小沢さんの問責決議案を提出するのと全く同じで、これは言論の弾圧と言われても仕方がない。
 野党は実際にはこのような理屈が通る訳はないので、別の理屈をつけるのだろうが、それが世論の支持を受けるか否かは不明と言うより、反発を招くだけのような気がする。
 そして、今まで出ては消えた福田さんや升添さんへの問責決議案と同様に道を辿りそうな気配だ。
 そのような詰まらないことを考える前に次期政権を狙う民主党としては他にやる事があるような気がする。
 その内に与党から低所得者への負担軽減、年金天引きの範囲の縮小、かかりつけ医の問題点など後期高齢者医療制度の不具合点の修正案が出るだろう。
 それを見て後期高齢者や国民の反発も次第に弱まるだろう。
 その事態になったとき民主党はどのような対応をするのだろうか。

民主党に是非やって貰いたいこと
 それより後期高齢者が今一番心配しているのは、重病で大病院に入院した後の病院のたらい廻し→医療、介護付き老人ホームの不足(それと要員の不足)→自宅治療の際の人手不足(核家族化、老老介護、介護要員の不足)の問題だ。

 福田さんは食糧サミットの際の記者会見で、「社会保障費の自然増分を毎年度2200億円圧縮」する政府方針に関しては、「財政規律を守るシンボルだということを重く受け止めなければならない」と述べ、堅持したい意向を示したそうだ。

 民主党は世論やマスコミの意見ににおもねるようなことばかりせずに、崩壊しかかっている医療の建て直し、婦人科・小児科医など医師不足の解消、託児所や老人ホームの施設の増強、自宅介護要員の増強など、「社会保障費の自然増分を毎年度2200億円圧縮する政府方針」が正しいか否か、それに問題があればどうするかなど、もう少し足が地についた建設的な議論を政府、与党として貰いたいものだ。

参照:5.16 高齢者の責任 
    4.17
後期高齢者医療制度の本当の問題点 
    4.14
後期高齢者医療制度について 
       カテゴリー → 少子高齢化

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