昨夜の英文輪読会の資料で気になったものがあるので紹介する。
「Coming home becomes nightmare」 (AP)だ。
[可哀相な米国帰国兵士]
ホームレスになった元兵士
2003年にはジョンはアフガニスタンで米国の部隊を率いていた。
今は彼は借金を抱え、無職のホームレスとしてロスアンゼルスにいる。
彼のケースは市民生活に適応しようとしている帰還兵たちが直面している問題を浮き彫りにしている。
この問題は新しいものではない。
1960年代から70年代にかけてベトナムから帰国した何千という兵士たちが、彼らの生活を再構築するのが難しいことに気づいた。
今日、約15万人に及ぶと言われる(実際にはまだ多いかも知れない)ホームレスの兵隊の大部分をベトナムから退役兵士が占めている。
精神障害に悩む兵士
然し、当時の帰還兵士と今のそれとはいくらかの違いがある。
イラクやアフガニスタンからの帰還している兵士達、その殆どが20代であるが、彼らを母国で迎えたのは、英雄への大歓迎でなくて、イラクやアフガンの米国の介入にうんざりしている多くの米国人からの非難だった。
退役兵士の援助をしている組織で、働いている人は言った。
「多くの兵士たちは戦地で受けた精神的障害を克服できないままに帰国した。それが彼らを中毒性の高い薬物摂取などの危険な行動に走らせている。」
最近の調査ではまた、帰国兵士の5人のうち1人が、恐ろしい状況を経験した後生じるPTSD(心的外傷ストレス症候群)に罹っていることが判っている。
それは約30万の兵士だと言われているが、実際の数字はもって多いだろう。
何故なら兵士たちが心の問題を持っていることを話すことを恥じているからだ。
過度の飲酒や暴力行為は社会の大きな問題になりかねない。
ある軍医は彼が抱えている悪夢について言った。
「それは過去の事を思い出すフラッシバックから始まる。夜には私は酔いつぶれるまで酒をがぶ呑みする。何故なら私はそれ無しには眠れないからだ。」
[日本の自衛隊の人達はどうなる]
これを読んで友達は帰還兵の多くがホームレスになるのは「米国は徴兵制と違って志願制だからこういうことになるのではないか。」と言った。
私は友人たちの話を聴きながら、ぼんやりと日本でも自衛隊は志願制だが、米国と違って他国へは原則的に出兵しないので帰還兵などが出来ないこと、戦火を交えるのは国内に限られているので、第二次世界大戦のときのように廻りが全て敵国民と言う事態が起こらないだろうし、第一にその様なことを抜きにしても日本政府は国のために戦った兵士を護って呉れるだろうなどぼんやりと考えていた。
然し断っておくが、私はこういう話を書いていても、例の9条主義者ではない、いざ何かことあれば、国の総力を上げて国を護るべきだと言う立場だ。
[私の意見]
私は、米国の帰還兵のことについて言う立場にはない。
唯一つ言いたいのは、米国が自国(またはその指導者)の信じる大義でイラクやアフガンに介入したために、国のために戦った兵士がその自国での落伍者を作るなど国内だけでなく、世界に大きな影響を及ぼしたことだ。
米国の歩んできた道
振り返ってみると、
・米国がその支援で建国させたイスラエルの国際法無視の行動に対して世界から批判を浴びても、拒否権を行使しても同国を支援し続けた。
・その理由の一つは米国在住のユダヤ人が政治的に大きな力を持っているし、その支援が無ければ政権を取れないからだそうだ。
・アラブ人から見れば、米国が世界の批判を浴びても頑としてイスラエルに対する態度を変えない、そうかと言って軍事力ではイスラエルには圧倒的に落ちるアラブ諸国は強硬姿勢をとるイスラエルに対して何も出来ない。
・それでオサマ・ビンラディンの一派が911事件を起こした。
・米国は彼らを匿ったアフガンのタリバンを攻撃し、テロ撲滅、大量破壊兵器の隠匿、民主主義の確立などいろいろの大義を掲げてイラクに侵攻した。
・イラク、アフガン戦争では米国は多くの国際法を冒した。
・米国は空爆とうの最新兵器で直ぐに優位に立ったが、地上戦ではテロ行為に悩まされており前記のように帰還兵士がPTSDに罹った。
・イスラム過激派にとっては、911やイラク、アフガンでのテロ行為が米国の様な超大国にも有効な戦術であることを覚らせ、その定着化と拡散に繋がった。
政府、政治家のビジョン
この問題は米国のイスエルへの無条件とも思えるような肩入れの理由の一つが、選挙の勝利の為にはユダヤ人の協力が欠かせない事と言う民主主義の根幹にも関わる問題だ。
選挙は民主主義の第一歩であり、それ勝つのは政治家や政党として大事なのは当然だが、その前に政治家や政党が例え自分や自党に取って仮に不利になることであっても、譲れないしっかりしたビジョンをもつことだと思う。
世界の民主主義のリーダーと自認する米国でも、選挙に勝つために方向を誤り、そのために自国民に犠牲者を出しただけでなく、テロ行為の定着や拡散と言う世界に大きな悪影響を与えているのは事実だ。
日本の政治家のビジョン
一方日本のことを考えて見ると、ねじれ国会で政局は停滞し、行く先が見えない。
政治家も政党も公約では奇麗事を言っているが、その根幹にあるビジョンが見えてこない。
まして日々の彼らの言動は党利党略丸見えで、政党も政治家もそのビジョンに基づいた行動をしているとはとても思えない。
世界にとって幸いと言うか、日本人にとっては情けないと言うか、日本での与野党のせめぎ合いは、米国の大義の為の戦いに比べれば、平和的ではあるがコップの中の争いのようなチッポケなものだ。
日本でも「美しい国」でそのビジョンを国民に示して首相になった安倍さんも、その政治的な幼さを野党やマスコミから突かれて失脚してしまった。
小沢さんには「日本改造計画」などの著書もあるが、その内容と実際の言動は完全に背離している。
福田さんなど何を考えているか判らない人達ばかりだ。
麻生さんの「とてつもない日本」も日本の将来はバラ色のような内容から、彼の明るい性格は良く判るが、重みに欠けているようだ。
誰かしっかりした識見を持ち、しかも実行力のある人はいないのだろうか。
それとも安倍さんの捲土重来の巻き直しを待つしかないのだろうか。
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ
政治ブログへ