このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
父は暑さに弱く、6月に入ると早くも夏バテして食事はそうめんかざるそばくらいしかとれなくなり、それが秋口まで続くのが常だったが、そんな彼にも夏の食事時の楽しみがあった。
ある年、大学の夏休みで帰省した際のことだ、父は食器戸棚の奥まで頭を入れゴソゴソやっていたのだが、やがて大きな箱を取り出した。
中には直径30センチ超のガラスの大皿が入っていた。
青と若草色を大胆に散らした、とても豪華な作りだ。
父はそれをうやうやしく両手で持つと、そっとテーブルの真ん中に置いた。
「これは元々は水盤(花器)なのだけど、店頭で見かけた時に、麺鉢に使ったら楽しいだろうな、と買い求めた。つゆ入れも別のシリーズの津軽びいどろで揃えて。
思ったとおり、これで食べると気持ちが華やぐんだ。
小ぶりのものも買い足したけど、おいおいこのサイズの色違いも欲しいね。」
それで父の食が進むのであれば、とこっそりネットショップを検索してみたところ、思った以上に(学生の私には)高価で、プレゼントを断念した。
そのあと間もなく父は亡くなり、皿は現在私の手元にある。
私はそれにサラダを盛り、子供たちに出す。
食卓の真ん中にそれがあるのを見ると、私は父が子供たちと一緒に席に着いているかのような錯覚に陥る。
夫は夫で、これで食べると気持ちが華やぐね、と会わず仕舞いになったひとと同じセリフを口にして、私を一層複雑な気持ちにさせるのだ。