地元紙に年5、6回程度、介護サービス法人の特集広告が掲載されることはこれまで何度か書いた。
当法人は事業所名をずらりと並べた、やや威圧的で嫌味なスタイルなのだが、だいぶ前から飽きてきていて、内心変えたいな、と思っていた。
それがひょんことから職員に当市出身で在京のプロの漫画家さんを紹介され、挿入するイラストを描いていただけることになった。
数点届いたラフ画はどれもチャーミングで選ぶのに一苦労したのだが、季節にふさわしい浴衣姿のものにしてみた。
第1稿は男のコも浴衣だったのが、この二人は恋人同士ではなく、当市の夏の風物詩であるみなとまつりに揃って出かけてきた当法人の同僚職員という設定にしたいので、別の画にあった半袖ボタンダウン姿に変更を依頼した。
すると先方から、シャツはタックインかアウトかとの問い合わせが来た。
僕はすぐさま答えた。
「シャツはタックインで、ベルトは添付した写真のような、いわゆるアイビーベルト、パンツはクリーム色のコットンパンツでノータック、プリーツ有でお願いします。」
要望が細かいクライアントだと思われなければいいな、と念じていると、すぐに第2稿が届いた。
おー、と僕は思わず満足げな声を上げた。
これはまさしく1978年のけせもい高生じゃないの。
当時男子高だったけせもい高校は服装自由で、生徒たちは少ない小遣いをやりくりして精いっぱいのおしゃれを楽しんでいた。
この男のコがくるりと振り返ると、シャツの背中にはVANのTシャツのバックプリントが透けて見えるに違いない。
なんだかちょっと面白くなってきた。
次回は敬老の日特集だが、これもセンセイに依頼し、バックにけせもい市の名所を入れていただこうかな、などとニヤニヤ笑いながら考えている。
遊び心でうちわに市章を入れていただいた