ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

「アキラとあきら」(再掲)

2022年09月05日 | 日記

「僕の一族は小さな町で代々家業を持った男たちが多く、サラリーマンになった者は数えるほどしかいなかった。

けれども、みな揃って商才がなかったようで、倒産して夜逃げしたり、廃業したり、中には首を吊った者もいた。

子供のころからそういった出来事を見聞きして、倒産とは何て恐ろしいものだろう、と感じていた。

かく言う僕の父親も、組合長に祭り上げられた当の組合がまもなく破綻し、その余波で家業が傾いて、さらには父親が心労で倒れ、当時お気楽サラリーマンだった僕が退職してUターンせざるを得なくなった。

家業って、うとましいね。それで家族が生活してきたのだけれど。」

 

 池井戸潤の小説「アキラとあきら」は海運会社の御曹司に生まれた階堂彬(あきら)と、父親が営む零細工場の倒産を経験している山崎瑛(あきら)の二人のあきらが一流の銀行の同期入行員として出会い、切磋琢磨しながら、やがて階堂の家業の倒産を阻止すべく死力を尽くす、という内容だ。

2017年には向井理と斎藤工でテレビドラマ化されている。

弟に社長を任せて傾いた家業を、お前が社長に就いて立て直せ、と山崎が迫るが階堂は煮え切らない。山崎は激して言う、「御曹司のお前は甘いんだよ、倒産は地獄だぞ!」と。

(2020年12月)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする