このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
来月オープンの事業所の準備を手伝っていた私は玄関でばったりNPO法人なごやか理事長に出くわした。
両手にぶら下げていた大きな紙袋をそっと床に置くと、彼はもう一度車まで戻り、同じ分量の荷物を運んできた。
お持ちしましょうか、と声を掛けると、うん、台所まで運んでほしい、とのこと。
私も先ほどの理事長に倣って荷物を床にそっと降した。
「事業所の茶器集めは僕の担当らしくてね。」
少し言い訳がましく前置きすると、彼は紙袋から次々と品物を取り出し、ダイニングテーブルの上に並べ始めた。
私は目を見張った。
藍色の銘々皿、薄緑の湯飲み茶碗、白い陶製の茶托、色違いのカップ&ソーサ―5客、などなど。
素敵ですね!思わず声が弾んでしまった。
「ありがとう。今回は香蘭社のもので揃えてみた。家からもだいぶ持ち出したので、ずいぶんな量になって、壮観だね。」
そう言いながら、理事長はひときわ大きな茶ひつを取り出した。
「これは見てのとおり津軽塗。見事でしょう?ずいぶん前に頂いた物だけど、高かったろうね。それと、新しく同じ津軽のお盆と急須托を買ってみた。
きみには以前も教えたけれど、『しつらえ』はとにかく大事。お客様がいらした際には、これでハレの日を演出して差し上げようね。」