このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
忘年会を兼ねたNPO法人なごやかの今年最後の管理者会議は、喫茶店アルファヴィルを貸切にして行われた。
職員のほとんどが女性のなごやかには夜にお酒を飲みながら、という文化が一切ない。
なにか話があれば昼間に顔を合わせましょう、退勤後の夜や休日は職員自身とその家族のために使いましょう、というのが理事長の方針で、この忘年会もランチをとりながら今年一年間の無事を祝う、ライトな集まりだった。
カウンターの中の女性オーナーは淡い水色の和服にたすきをかけ、てきぱきと料理を作って出している。
フロアスタッフたちは白いラルフローレンのボタンダウンシャツにブルージーンズ、ダークブラウンのカフェエプロン姿で揃え、給仕に忙しい。
カウンターの隅に腰掛けた理事長はというと、無理やり笑顔を作りながらオーナー特製の青梅の甘露煮を口に運んでいる。
活気にあふれた店内の皆が満足げで、楽しそうだった。
やがて会が終わり、代金を支払った幹事の私と理事長が店の外へ出ると、後を追ってオーナーも見送りに出てきた。
理事長さん、お忙しいでしょうが、来年はもう少し足をお運びくださいね。
いやいや、あまり通い詰めるのもおかしいから。でも、来ますよ。
きっと約束ですよ、と言いながらオーナーがたすきを解くと、袖がするするときれいに波打ちながら腕の上を滑り落ちた。
そしてその腕が二本差し出された。
理事長はためらいながらやはり二本の手を差し伸べた。
私は一瞬、理事長が片膝をつくのではないか、と思った。