「明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
思いがけず組合長職を拝命して二年近く、役者不足と困惑しながらも県・市とのさまざまな共同事業、課題解決を無事に行なうことができましたのは、ひとえに役員のみなさま、および組合員のみなさまのご支援によるものと感謝申し上げます。
また、本日はご多用中にもかかわらず県保健福祉事務所長様、市長様、市福祉介護課長様にご臨席いただきましたことも、非常に誇らしく感じております。
東日本大震災により、ここにお集まりの組合員様の多くが甚大な被害を蒙りましたが、来賓のみなさまがたと担当課様の迅速なご対応とご支援により、それぞれが見事に復旧復興を果たし、今夜このように笑顔でテーブルを囲んでおりますところをご覧いただけることは、なにより嬉しく思えます。
改めまして、組合員一同、お三方様に深く感謝申し上げます。
さて、みなさまご存じのとおり、現在、全国の自治体において地域包括ケアシステムの構築と本格稼働が急がれております。
このシステムの中で、われわれ介護サービス事業者、当組合の果たす役割は非常に重要で、各地域に点在する組合員事業所がその具体的な拠点となって住民の方々の日々の生活を支えて行くことがこれまで以上に求められます。
実際、当組合長には、本市地域包括ケア推進協議会の副会長職が割り当てられております。
今年もまた組合員のみなさまとともに、本市の地域包括ケアシステムの推進のため、さらに汗をかき、本市のシステムは一味違うな、素敵だな、と他市町村から羨望のまなざしで見られるような成果を上げて、来賓の皆様から当組合がお褒めいただけるよう頑張ってまいる所存です。
長くなりました。今夜は短い時間ではございますが、ささやかな余興も準備しております。
ご歓談とともに、楽しんでいただければ幸いです。」
「サウンド・オブ・ミュージック」の収録曲「私のお気に入り」は、ジョン・コルトレーン(ジャズ)からブライアン・セッツアー(ロカビリー)まで、無数のカバー・バージョンが存在するけれど、意外とピンとくるものがない。
オリジナルのチャーミングなアレンジの印象が強すぎるからだろうか。
私のお気に入り(My Favorite Things)
作詞 オスカー・ハマースタインⅡ世
作曲 リチャード・ロジャース
バラに滴る雨滴 子猫のひげ
ピカピカの銅のやかん 暖かいウールのミトン
ひもで結わえた茶色の小包
これらは私のお気に入り
クリーム色のポニー しゃきしゃきリンゴのシュトロイゼル
ドアの鈴 そりの鈴 ヌードルつきのシュニッツェル
月を翼に乗せて羽ばたく雁の群れ
これらは私のお気に入り
白いドレスに青いサテンのサッシュを身に付けた女の子
鼻やまつ毛に残った雪のかけら
春へと溶けゆく銀白の冬
これらは私のお気に入り
犬に噛まれたとき
ハチに刺されたとき
悲しい気分になったとき
ただただ、好きなもののことを思い浮かべるの
そうすれば気分がよくなってくるわ
私のお気に入り(「サウンド・オブ・ミュージック」風に)
雨上がりの虹 ピカピカに磨いたウイングチップ
セシル・カット さびしい王子さま
ハードカバーのモレスキン
これらは私のお気に入り
ピグマリオン ブライトンのフィッシュ&チップス
ぽらんとポラーノ サクサクのミルフィーユ
満月の夜の明るい車道
これらは私のお気に入り
オリーブ・オイル(OYL)のようにひょろひょろの女の子
アマゾン.コムから届いた箱
トーマス・ピンクのシャツにちょうどいい風
腕時計が止まってしまったとき
もうひとりの自分に放り投げられたとき
悲しい気分になったとき
ただただ、お気に入りのもののことを思い浮かべる
そうすれば気分がよくなってくる
同い年の友人の葬儀で弔辞を読んだ夜、空を見上げると、きれいな満月が浮かんでいた。
「月をこそ ながめなれしか 星の夜の 深きあはれを 今宵知りぬる」
「建礼門院右京大夫集」より
訳「いままでは月だけを眺め慣れてきたためか、星の夜の深い趣きに今夜はじめて気づいた」
建礼門院右京大夫は平安時代末期の歌人で、建礼門院(平清盛の娘徳子)に仕えた女性。
夜空の中心で明るく輝く月とちがい、一つ一つがはかなげに瞬いている小さな星の光が、ふとした拍子に作者の胸に染みたのだろう。
Ⅰ理事長、きみはあの大きな月で、僕はこちらの端っこの小さな星だ。
私は自分が管理者を務めているなめとこデイサービスのホールで、昼食後の午睡から三々五々起き出してこられる利用者様がテーブルに着席されるのを支援していた。
すると、廊下側の扉が音もなく開き、NPO法人なごやか理事長がすうっと入ってきた。
ろうそくがともった丸いケーキを大事そうに両手で携えて。
「みなさん、こんにちは!社長でございます。
いつもなめとこデイサービスへごひいきを賜り、誠にありがとうございます!
実は、なんと、今日はこの事業所の高梨管理者の誕生日なんです。(どよめきと拍手)
いつもはみなさんの誕生日をお祝いする立場の彼女ですが、今日はみなさんと私で、管理者のお誕生日をお祝いしようと思い、やってまいりました。
よろしいでしょうか?(歓声)
ありがとうございます!
ではまずご一緒に「ハッピー・バースデイ」を歌いましょうか。(歌う)
さあ、高梨さん、ろうそくを吹き消して!(拍手と歓声)
ありがとうございました!
この一年もまた、きみの頭上に幸い多からんことを、心より祈念いたします!
お誕生日おめでとう!(拍手)
ケーキは二つ持ってまいりましたので、みなさんにはこのあと、うす~く切ってお出しします!(爆笑)」
ではまた、と腰を低くしたまま退出する理事長を、私は玄関まで追いかけた。
ありがとうございます、と頭を下げた私に、彼は笑いながら言った、
「高梨さん、管理者職は過酷だよね、誕生日までこうして事業所のイベントにされてしまうのだから!」
今回は、エリナ・パーカーと、パラマウント社の衣裳デザイナー、イディス・ヘッドについてです。
初めに2枚、写真をご覧ください。
まずは言わずと知れた、「ローマの休日」(1953年)のアーニャ=アン王女(オードリー・ヘプバーン)。
開襟ブラウスに共布のベルトがついたスカート、サンダル。
ワンポイントのスカーフがチャーミングですよね。
このいでたちで、ローマ市内を軽快に闊歩していました。
二枚目の写真は、その3年前に作られた「旅愁」(50年)の宣伝用写真です。
ナポリ市内を観光中に乗り遅れた飛行機が墜落、遭難者リストに名前が載ってしまった実業家(ジョセフ・コットン)と新進ピアニスト(ジョーン・フォンテーン)のつかの間の恋。
では、エリナ・パーカーです。
軍隊アリの大群が襲ってくる元祖パニック映画「黒い絨毯」(1954年)。
アマゾン流域の開拓地に単身、嫁いでくるのが彼女でした。
続いて、暴かなくてもいいことまで鬼気迫る表情で追及して破滅する刑事カーク・ダグラスの良妻を演じた「探偵物語」(1951年)。
よく見ると、ボレロの襟や袖がブラウスと共布になっています。
最後は、1958年の「波も涙も暖かい」です。「素晴らしき哉、人生!」や「スミス都へ行く」を撮った名匠フランク・キャプラ監督(二列目中央)の後期の作品で、主演はフランク・シナトラ(前列中央)。パーカー(キャプラの左隣)は上品な未亡人役。シナトラとは「黄金の腕」(1955年)ですでに共演した間柄でした。
ヘプバーンやグレース・ケリーのように取り上げられ論じられることは皆無ですが、エリナ・パーカーもヘッドがデザインした衣裳をこのようにセンス良く着こなしていました。