電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

最近の読書~放射線の影響について

2011年09月24日 06時11分45秒 | -ノンフィクション
亡父は、昭和21年8月10日に広島市に入り、爆心地から2kmほど離れた比治山で被爆者の救援に当たったために入市被曝して、血液の異常の症状を示したほか消化器系のガンを何度も発症するなど、長い闘病生活を送りました。

陸軍で同じ訓練を受けた通信隊の同期で、広島に配属された仲間の一人は、直接被爆してケロイドを持っていながら、亡父よりも元気で存命なようです。この理由について、火傷を負ったためにすぐに広島市外に運ばれ、体内被曝をしなかったためであろうと推測しています。救援に入った亡父は、健康であったために市内にとどまり、飛散した放射性廃棄物が含まれた水を飲みながら一週間の救援作業に当たったことから、外部被爆とともに、かなりの内部被曝をしたためであろうと考えています。その点で、様々な原爆被害は、生々しい外傷など、目に見えるものを手がかりに伝えられているものが多く、内部被曝の、長期にわたる影響を充分に伝えているとは言い難いと感じています。

これまで、広島や長崎、あるいはビキニ環礁の水爆実験、チェルノブイリなどで、体内に取り込まれた放射性同位体の影響のデータが積み上げられてきていますが、体内被曝がどのようなメカニズムで様々な影響を及ぼすのか、その因果関係は必ずしも十分な形で確定しているとは言えないようです。ただ、因果関係がメカニズムとして明らかにされていなくても、統計的には発がん率の有意な上昇が見られるとのことで、これは亡父の場合にもあてはまります。山形県のような、福島原発の風下にはなりにくい地域では、受ける放射線量が微弱なため、外部被曝による確定的な影響についてはあまり神経質になる必要はないのかもしれません。しかしながら、食品等を経由した内部被曝による確率的な影響についてはどうなのでしょうか。例によって、当方のわかる範囲で整理するために、ただいま勉強中です。若い頃に、被爆二世の遺伝的影響について知りたいと思って入手し、読んだ江藤秀雄著『人体と放射線(第2版)』(岩波全書)や、もう少し新しい本で、舘野之男著『放射線と健康』(岩波新書)など、放射線医学の基礎的な知識を整理しているところ。遺伝的な影響よりは、むしろガンの問題が大きいとのこと。亡父のケースも、まさにこれに該当します。昔、学生時代に特別集中講義で聴いた放射線化学の内容なども、断片的に思い出します。

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