モーツァルトのピアノ協奏曲第12番、イ長調K.414は、1782年の秋に作曲され、主宰した予約演奏会で初演した三つのピアノ協奏曲(第11番~13番)のうち、最初に書かれたものと考えられているそうで、楽しく幸福な音楽です。作曲者が手紙で、「むずかしすぎも、やさしすぎもせず、ちょうど中間であり、たいへん華やかで、耳には快く、自然で、空虚さに陥っていない」と書いているそうで、それを信じるならば、ピアノの腕に自信のある貴族の令嬢などが演奏するのに、ちょうど良かったのかもしれないと思います。もっとも、楽譜の出版は三年後の1785年になってからだそうで、初演直後には無理かもしれませんが。
楽器編成は、Ob(2), Hrn(2), 弦4部、ピアノとなっています。弦4部は弦楽四重奏でも可能だそうで、それなら貴族の館における家庭演奏会でも演奏されたのかもしれません。
第1楽章:アレグロ、イ長調。
第2楽章:アンダンテ、ニ長調。
第3楽章:ロンド~アレグレット、イ長調。
この曲は、三曲の中では比較的素朴な印象を受けますが、それはそれとして何度も聴いているうちに、先の想像、例えば知人のお嬢さんが思いがけず腕達者なピアノを披露する時のような、そういう楽しさを感じます。「モーツァルトのピアノ協奏曲なんて、どれも同じさ」とはとても言えない、この曲の良さが感じられて来ます。
アンネローゼ・シュミットのピアノも、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏も、近年の古楽奏法のものとは異なりますが、聴き応えのあるもので、録音も自然で良好なものです。
参考までに、演奏データを示します。
■アンネローゼ・シュミット(Pf)盤
I=10'30" II=8'00" III=6'25" total=24'55"
楽器編成は、Ob(2), Hrn(2), 弦4部、ピアノとなっています。弦4部は弦楽四重奏でも可能だそうで、それなら貴族の館における家庭演奏会でも演奏されたのかもしれません。
第1楽章:アレグロ、イ長調。
第2楽章:アンダンテ、ニ長調。
第3楽章:ロンド~アレグレット、イ長調。
この曲は、三曲の中では比較的素朴な印象を受けますが、それはそれとして何度も聴いているうちに、先の想像、例えば知人のお嬢さんが思いがけず腕達者なピアノを披露する時のような、そういう楽しさを感じます。「モーツァルトのピアノ協奏曲なんて、どれも同じさ」とはとても言えない、この曲の良さが感じられて来ます。
アンネローゼ・シュミットのピアノも、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏も、近年の古楽奏法のものとは異なりますが、聴き応えのあるもので、録音も自然で良好なものです。
参考までに、演奏データを示します。
■アンネローゼ・シュミット(Pf)盤
I=10'30" II=8'00" III=6'25" total=24'55"