ようやく週末の休日にたどり着き、「川中島白桃」の出荷の準備で箱やモールドなどの在庫状況を確認点検し、午後から山形フォーラムに出かけ、映画「パブリック〜図書館の奇跡」(*1)を観てきました。
この映画は、米国オハイオ州シンシナティの公共図書館が舞台です。ただでさえ寒い時期に大寒波が襲来し、ホームレスの人たちの中には凍死者が出ているとき、寒さをしのごうと多くのホームレスが図書館にやってきて、一晩泊めてくれと頼みます。これが結果的には主人公の図書館員スチュアートを巻き込んで図書館を「占拠」する事態となってしまいます。市長選へ立候補を目指す検察官は強硬策を主張しますが、図書館側は穏健な解決を望みます。ところが事態は……というストーリーです。
うーむ、新型コロナウィルス禍の渦中とはいえ、いたって平穏無事な日本人的には、警官隊の突入を前にした緊迫感というのは理解されにくいでしょう。米国の日常、とくに大都会においては、「制圧」というのは暴力と流血を意味し、時には死者が出てしまう場合もあると聞きます。ましてや相手がホームレスであれば、容赦ない制圧が行われることは必至でしょう。であれば、多数の犠牲者の発生を回避したあの奇想天外な解決策は、決してお笑いのタネではなくて、本によって命を救われた経験を持つ図書館員の、起死回生の一手だった、ということでしょう。スタインベック「怒りの葡萄」の一節の暗唱は、詩的な名場面であるとともに、教養のないテレビ・レポーターには全く通じないという「分断のジレンマ」をも感じさせます。
題名の「パブリック」について。パブリックとは、この場合、公共と訳せば良いのでしょうか。トランプのアメリカにおいて、公共の場所や政策は該当するすべての人々を対象にするものでなければいけない、という原点を問うものなのかも。
(*1):映画「パブリック〜図書館の奇跡」公式サイト
この映画は、米国オハイオ州シンシナティの公共図書館が舞台です。ただでさえ寒い時期に大寒波が襲来し、ホームレスの人たちの中には凍死者が出ているとき、寒さをしのごうと多くのホームレスが図書館にやってきて、一晩泊めてくれと頼みます。これが結果的には主人公の図書館員スチュアートを巻き込んで図書館を「占拠」する事態となってしまいます。市長選へ立候補を目指す検察官は強硬策を主張しますが、図書館側は穏健な解決を望みます。ところが事態は……というストーリーです。
うーむ、新型コロナウィルス禍の渦中とはいえ、いたって平穏無事な日本人的には、警官隊の突入を前にした緊迫感というのは理解されにくいでしょう。米国の日常、とくに大都会においては、「制圧」というのは暴力と流血を意味し、時には死者が出てしまう場合もあると聞きます。ましてや相手がホームレスであれば、容赦ない制圧が行われることは必至でしょう。であれば、多数の犠牲者の発生を回避したあの奇想天外な解決策は、決してお笑いのタネではなくて、本によって命を救われた経験を持つ図書館員の、起死回生の一手だった、ということでしょう。スタインベック「怒りの葡萄」の一節の暗唱は、詩的な名場面であるとともに、教養のないテレビ・レポーターには全く通じないという「分断のジレンマ」をも感じさせます。
題名の「パブリック」について。パブリックとは、この場合、公共と訳せば良いのでしょうか。トランプのアメリカにおいて、公共の場所や政策は該当するすべての人々を対象にするものでなければいけない、という原点を問うものなのかも。
(*1):映画「パブリック〜図書館の奇跡」公式サイト