(沖縄タイムス6月28日)そのコンテストに参加していることは劇団のチラシでも記載されていた。いわゆる「復帰50周年記念」の年でもあり、作品の中身が常に【沖縄「復帰」ゼロ年】の原初に立ち戻る作品であり、現在進行形で沖縄の現在を常に表出することが可能な脚本ゆえに、賞の可能性はありえると、何となく予測できた。演出の当山彰一さんの意気込みもすごかった。ただ「なはーと」の小劇場の舞台構成に関しては . . . 本文を読む
時代の変化によって復帰への視点や捉え返しも異なっていく。現時点、2022年と復帰当時の双方が舞台に表出される。迷える沖縄人の群像を9人が代弁して語り合う、舞台のリハーサルの場面を、現時点で演じる役者がいる。構造が二重になっている。そう言えば今回は演出家は登場しなかった。栗山民也が演出した「かじまやーカメおばあの生涯」(下島三重子脚本)の場合、舞台を演じるキャクター、演出家、そしてさらにその全体を見 . . . 本文を読む
これは2009年12月に沖縄で公演された演劇についての批評です。以前Okinawan Theatreのサイトに公開していたものですが、Yahoo Geocitiesがなくなり、表から消えたものです。「かじまやーカメおばあの生涯」(栗山民也演出、下島三重子脚本)「かじまやーカメおばあの生涯」のドレスリハを見た昨夜! 吉田妙子さんとの約束が果たせて良かった!原作の平松幸三 さん や脚本の下島三重子さん . . . 本文を読む
【写真は、上原さんが国会議事堂の扉に激突した時被っていたヘルメット】50歳になった復帰っ子たちが同窓会の後で、会に参加しなかったやーすー(平安信行)のバイク屋にやってくる。てっちゃん(新垣晋也)がリードしながら会は盛り上がっていく。以前公演した那覇市テンブス館より劇場が広々として、舞台美術もなかなか良かった。 冒頭でやーすーがギターを弾いて歌った歌は2度繰り返された。≪戦争が終わってぼくらは生 . . . 本文を読む
5月4日に梅雨に入り、雨の中、でも4日、5日の劇団ビーチロック演劇公演「オキナワ・シンデレラ・ブルース」は盛況に幕を閉じただろうか。5日の朝11時、二回目の公演を観た。シンデレラ物語、父親思いのルコが階段を登っていく先の芸能界。音楽喫茶のブルースシンガーキング知念(Hitoshi)とサックス奏者ケニー与那嶺(Arita)の演奏と歌がいい。復帰後1年目の沖縄。本土は27年ぶりにアメリカ統治から解放さ . . . 本文を読む
物語の筋書きで泣かせたのが犬飼憲子演じる「一粒の砂の奇跡」(作北川彩子、演出沖直未)。中年のまちこさんが星砂を選別している。まちこさんは猫と暮らしている。質素に、他人とあまり交わらないように、そして彼女の人生の彩どりが、物語の終盤に明らかになる感動のエンディングだった。かつて、5歳の一人息子と無理心中を未遂したまちこさんだった。しかし咄嗟に息子を突き飛ばし、一人踊り場〈ベランダ?)から飛び降りたの . . . 本文を読む
演劇を通して表出された本土復帰(祖国復帰、日本復帰)はある面、復帰そのものへの問いかけであり、現代沖縄史のメタファーになっているようだ。それは現代に至る沖縄の現実を凝視せざるを得ない創作(表現)である。今回三劇団はオリジナルのテキスト(脚本)に新たなテキストレジがなされる可能性も高いようで、どうそれが舞台で反映されるのか、興味深い。三作品を観劇して、復帰そのものを自らに問ういい機会になりそうだ。 . . . 本文を読む
「密航者」のチラシを見た時、取調室の取調官と密航しようとしたヒロ子という女性の攻防とあったので、三谷幸喜の「笑いの大学」の取調室が頭を掠めた。「笑いの大学」は「昭和15年10月。日本が戦争への道を歩み始めていた時節、国民の娯楽である演劇は規制され、警察で台本の検閲を受けなければ上演できない。そんな時代に、生まれて一度も心の底から笑ったことがない検閲官・向坂睦男と、劇団『笑の大学』座付作家・椿一が警 . . . 本文を読む
この「密航者」も沖縄本土復帰50年企画となっています。戦後沖縄の歴史の断面が取り上げられているのですね。なぜ復帰へと沖縄が突き進んでいったのか、その背景に迫っています。アメリカ統治時代の琉球政府は、行政・司法・立法の三権が分立し、司法権を行使していたことなど、国家的要素もかなりの範囲で認められていたので日本の他の県とは異なっていました。祖国復帰50年、沖縄返還50年、日本復帰50年、本土復帰50年 . . . 本文を読む