嘉数道彦さんの聡明さと緻密な掘り下げに、何より氏の真喜志康忠のみならず「沖縄芝居実験劇場」を立ち上げた作家の大城立裕、演出家幸喜良秀、北島角子、間 好子、兼島道子、北島三郎さんたちの功績も自ずと浮かび上がってくる、資料を基にまとめた5000字余の原稿に感銘を受けた。
原稿を読んで、今回の真喜志康忠生誕100年記念公演イベントが、今後の玉城盛義さんや嘉数道彦さんを中心とするメンバーが、中堅として、今後の沖縄の芸能文化の行く末を力強く推進していく決意にも取れた。
「真喜志康忠生誕100年記念誌」に収録されます。
30代の若さで「国立劇場おきなわの二代目の芸術監督」に抜擢された嘉数さんの才気あふれる創作や実演があり、当時80代の大城立裕さんや70代の幸喜良秀さんと鼎談していた彼の若さが気になったが、先生方の想いを継承して、屹立していることが、論稿の中にしっかりまとめられている。
正直とても感動した。
真喜志康忠の想いを彼や仲間は直裁に見据え、継承している。そしてさらに大きな文化のうねりとして、新たな時代の感性を包摂しつつ、沖縄の過去、現在、未来へのベクトルをしっかり指し示しているのだ。
「沖縄芝居実験劇場」が成し遂げたもの、そして引き継がれていくもの、40代になった嘉数さんたちはさらに日本の国内だけではなく、近隣のアジアへ、世界へと押し広げていくに違いない。
無意識の共同性のエキスが結晶化された芸能文化である。組踊や沖縄芝居はその核になるが、沖縄芝居は、時代の空気、感性、一般大衆の想いが集約された形で表象されていく。
伝統文化を破壊し、世界を一元化する流れもある。インターネットやAIの登場とさらなる開発で、将来的にデジタル社会は加速し、AIとの共存もスピードアップすることが予測されている。
しかし、長年培われてきたそれぞれの地域や国の文化は容易に壊され衰退することはない。それは育む人々の熱意が問われ続ける。一元化されないもの、伝統文化を守り、継承していく、それぞれの時代の感性、息吹を取り込み、さらに真善美の在りかを追及するように、私たちもまた存在の根っこを見据えつつ、歩いていかなければならない。
多元化する世界、多様な文化を尊重し、共有しあう世界へ。一元化の悪夢を昨今経験させられた。地球惑星は、惑星として人為の及ばないサイクルを持っている。太陽系や大宇宙の中の小さな惑星のさらに小さな国や島の存在である私たちの、伝統文化を大事にし、現在に活かしたい。
伝統は絶えずRENEWAL(更新)、再生されていく。
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