志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

空のかなたに幸い住むと人のいうあの空の彼方の少女

2011-08-25 19:47:12 | 詩、詩集
 ≪闇と光≫

ひねもす台所に立つ者は
贖罪のようにそこにいる

積み重なった記憶は
あれはすべて嘘だったのだと
振り切ろうとするが
切れないものが残るのか

あいまいなものが
そこに
ありつづける

ひやくがわっさんたんや

と聞こえた
あのことば
ひやく

その日の運が悪かったという
ことらしいのだが

あの
毎日
野の花を持ってきてくれた彼女
いっしょにヤマモモを採りにいった彼女
いっしょに田んぼの中でとったふななどを
学校に持っていったのよね

小学生の頃
怖い漫画を怖がりながら読んでいた
物語の結末の悲惨さが想像できればできるほど
読むのが苦しくなって前に読み進めることが
できなかった

それは大学に入っても例えばテネシー・ウィリアムズ
の戯曲など読んでいて、明らかに好きな男に袖にされる
女の子の自負心の無残さなど、読みづらかった
結末が見えている悲惨さがたまらないという思いが
どこから来たのか

りこちゃんは
無残に殺されたのだ
あの一緒に遊んだ彼女は6歳で殺された!

あのとき大勢の人が彼女を探しまくった村をあげて人が草むらや森や畑や軒下や川や海やそしてそして見つかったりこちゃんは死体で二人で松林の中を歩いてそこにぶら下げられた猫の死体などにドキッとしたのはついこの間のように思えるのだがりこちゃんが死んでいたあの日から消えていた記憶があるあの時の松ぽっくりがいっぱい落ちた学校の庭で二人で箒などもってはいていた時教頭先生はいつもお酒の匂いがぷんぷんするような人でなぜかその後をついて歩いたりして笑ったあの頃の村は基地があって米軍基地内に薬莢を拾いにいってそれが爆破して殺される5年生の男の子がいたり、近くのガマの中から頭骸骨を持ってきてそれを教室の教壇の上に置く勇敢な男子がいたりもしたあの頃のことは遠い昔のことのように思えるだけでりこちゃんが殺されたのは確かだったあれから彼女の位牌に向かって線香をあげたこともないことに驚くりこちゃんの家族はまだあの集落に住んでいるのだろうかそれがわからないままに今があるということに人間の一生の短さを思わざるをえないもはやあれから何十年もの歳月がたってしまったのだがそれが嘘のようになぜか故郷の記憶をたどると必ずりこちゃんが登場するのであるそしてあの美少女のXちゃんが出てくる実はわたしはいつも小説を書きたいと思っていてそれはいつもそこに戻っていくあのバス停留所が思い出されるあそこでXちゃんは立っていて立っていたのがXちゃんだったけれどそれが私でもおかしくはなかったわたしもまたあのバス停留所に立っていたのだからそしてあの彼はよく知っている彼だったしバスケットが上手な彼は目立っていたのよねそしてりこちゃんの家からXちゃんの家は遠くはなかっただからなぜか不安を覚えるのはそこにいてはいけないという思いであるそれは繰り返されるということばになってしまう単純な思考というものがあるそこにいてはいけないのであるでもそこに生きている人たちはどうなのと思うのだけれどもでもーーあの彼があのXちゃんをレイプして殺したという事実の物語だけが極端な記憶として残るそれがあの集落にまといつく記憶でのびやかな風が流れていても遠くに見える久志岳が優雅に男らしく見えていても消えないものでそれでなぜかその記憶だけがやはり幽霊のように絶えず忍び寄ってくるような感じなのよね!

あの時の記憶は茫然とした中にあり、時の流れにのって後で振り帰ってみると新聞で大きく取り上げられたりしていた意識の中に埋めていたのはなんだったのか身近に確かに起こった悲しい出来事がありそれが時とともに漂白されていったその後に過ごした小学生時代の6年間どのように時の波間に浮かんでいたのだろうか今頃ありし日の出来事が波の間から浮かび上がってくるそれをその幻映の一部を抜き出したいと思いつつそこに佇むそしてXちゃんの事にしてもあの可愛い彼女の立ち姿が突如として浮かんでくるのもその通りであの時あの彼アメリカ人の父親を持つ彼の顔が浮かぶそうか米陸軍の将校のシャープな表情が浮かぶあの顔に似ていた時は残酷にすぎるあの時バス停留所に立っている女子高生の姿が見えるあの時断ち切られた時よく知っている米軍演習地の中そこは太陽がギラギラ輝いてすべてを見ていたのだろうかふとヤンバルの森にすむ黒い表皮赤い色のいもりが脳裏に浮かぶそうだったそこに生息しているあのイモリ森林散策の中でいつもそこにいた竹やぶの中赤土の中に生息するその生き物の名前はそうイモリではなかったのかと思いだそうとするなぜか大ヤモリの仲間のように思え初めて意識して見つけた時はそのどぎつい色にうろたえた。

あれから時が飛んであっという間にここに至る。【続く】

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