志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

『平安朝の女と男』は隠れたベストセラーでその中にギリシャのヘタイラが登場する!

2016-09-16 23:18:15 | ジュリ(遊女)の諸相:科研課題

何となく題名が気になって手にした平安朝の男女についての中公新書、ポケット版だが、面白い。1995年初版から2006年まで八版である。隠れたベストセラーなんでしょうね、学術書だからー。こんな読まれる本が書けたらいいね。
 副タイトルに貴族と庶民の性と愛とある。ああそれゆえか、と思った。性と愛である。何時の世も女は男を求め、男は女を求める。昨今は男が男を求め、女が女を求めることも公に容認される社会になった。古代ギリシャ時代も男は男を求めてもいたのだ。

この本で気になったは、現在博論で書いている沖縄の遊廓、ジュリ、芸能の中で伊波普猷が始めて大正9年に『沖縄女性史』の中で紹介したHetaireゆえである。戦前、Hetaireを文献で取りあげたのはひょっとしたら伊波が始めてではないかと思っているのだが、ヘタイラというカタカナも戦後登場したのだと、ギリシャ文学・哲学の研究者はメールで教えてくださった。わたしの誤解でなければいいのだが、伊波は先駆者なのである。

さてこの本の中でもギリシャのアテネの家族と平安朝の家族が比較されているのである。藤原明衡(あきひら)の天下の奇書『新猿楽記』の一夫多妻の家族諸相がギリシャの一夫一妻妾、娼婦やヘタイラが存在する社会と比較されているのである。

沖縄の戦前の状況も中国と類似する一夫一妻妾の要素があり、遊廓は大きな位置を占めていたゆえに、伊波の感性の鋭さが迫ってくるのである。

じっくり古典を味わいながら読みたい一冊である。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。