志情(しなさき)の海へ

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お墓に避難します、と彼は逝ってしまった!

2011-08-28 10:34:27 | 詩、詩集
                    【藍の花】

かつて砲弾が吹き荒れた雨季の沖縄島で先祖の霊に守ってもらうため
 艦砲射撃を避けるため
  目の青い亡霊を避けるため

   先祖のお墓に避難した住民たちの姿がある

    墓場の前でしかし親子が着物姿で殺された写真が
     残される

     無事生き延びて先祖の霊に守られた住民も
      そして

       古の墓場のあった窟に逃げ隠れた住民も
        生死の地獄図絵の中に晒された

       極限の時空・場にあって人はただその実存の淡いに
      おののき鉄の嵐が吹き荒ぶ時に耐えた

     20万人以上の人間の血を呑みこんでこの島は
   戦後を迎えた

    地に浸みる血
     断たれた魂の群れ

      そして今
       仮設住宅では一人住まいの老人が
        次々と自殺するという

           「お墓に避難します」

             拒絶の壁は生き死にの崖っぷち

              明日が見えない今日の淵に
                人は永遠の避難所を求める

                それは独居老人だけではないのかもしれない

                 何しろ毎年3万とも4万ともいう人間が
              自ら命を絶つこの国である

            昨日、今日、明日と群れとなった人間が
         この国から消えていく

          現実はシュールリアリズム小説や演劇より
           シュールすぎる

              この幻の人の世の永遠の避難場所

       お墓へ

        行かねばならない

         今朝、83歳の母から電話がきた

          「ウガンするユタが来るから
            あなたも来なさい!」

              「はい」

               と答えた!

                今から行かなければ!

 【庭に咲く藍の草花】





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