「 公演が終わると 生活からパタッと音が消えるの 」
これは 1年前に オペラのコーラスの時に ご一緒した方の言葉だ
30年近く 市民オペラに関わってきて 生活が音楽を中心に回っている方だった
「 音楽が溢れかえっていた毎日が終わり 一転 シンとすると 狼狽えてしまう
しばらくして 次の目標が決まると また 力が湧いてくる 」
と おっしゃっていた
彼女の年齢を聞いてびっくり
思っていたより ずっと年上だった
癌を患い 健康も万全ではないのに 東京まで練習に通ってくる方だった
そんな事を想い出しながら 私も 今 音のない世界にいる
コーラスとソロの発表会が終わると 楽譜を終い ICレコーダーから必要な練習の録音を消し それまでの日々の扉を閉じる
音のない 静かな生活もいいものだ
深くソファに沈み込む
冬の短い日が翳っても そのまま
なに一つ しないで
・・・・・
次の日
何となく BGMでも聴いてみようか
「 やすらぎの・・・ 」とかね
音量小さめにして
空っぽの 私のなかに
ひたひたと
新しい音が やっと 入り込んできた