先日の「日曜美術館」で、画面に映った下の焼き物を見たとき、私は理屈抜きで、その焼き物に心惹かれた。
粉引茶碗 『雪の曙』
作ったのは、川喜田半泥子(1878~1963)。
彼は、名家の跡取りとして生まれ、三重銀行の頭取を務めた実業家でもある。
本名は、「九太夫(きゅうだゆう)」。
「半泥子」という名前は、作陶するに当たって、禅の僧侶からもらった名前だそうだ。
「半ば泥みて、半ば泥まず」で、『半泥子』……とっても素敵な名前だ。
彼は銀行の頭取の仕事をこなしながら、余暇を使って作陶に熱中した。
彼が生涯に作った作品は、3万とも5万とも言われるが、その中の一点たりとも売らなかったそうだ。
彼は、“究極の趣味人”“偉大なる素人”だった。
次に、番組で紹介された半泥子の作品を、3点。
粉引き茶碗 『たつた川』 黒織部茶碗 『富貴』
志野茶碗 『不動』
上の『たつた川』は、実際にもみじを貼りつけて作ったのだそうだ。
彼は作陶に当たって、次の2つの作品から、大きな影響を受けた。
一つは、天下一の茶人・古田織部に見出され、名品の誉れ高い、『破袋(やぶれぶくろ)』。
古田織部の像 桃山時代の古伊賀水指 『破袋』
半泥子は、『破袋』にいたく心を動かされ、それを深く研究して、『慾袋』なる作品を作った。
伊賀水指 『慾袋』
『慾袋』は、『破袋』によく似た作品だが、割れ目を漆で埋めて、その上に金で「青海波(せいがいは)」を描くなど、半
泥子の独創性が見られるという。
半泥子が心を動かされたもう一つは、朝鮮王朝時代の作品・『紅葉山』
井戸茶碗 『紅葉山』
半泥子は、朝鮮まで出掛けてその製法を研究し、持ち帰った現地の土を使って、下の作品・『渚』を作った。
井戸手茶碗 『渚』
それ以外の彼の作品。
志野茶碗 『赤不動』 井戸手茶碗 『さみだれ』
71歳の半泥子の作品、『残月』。
大侘び茶碗 『残月』
そして、半泥子最晩年の作品、『これは これは』。
刷毛目茶碗 『これは これは』
彼は、言われる。
…と。
私は、半泥子のこの考えに深い共感を覚える。
そして今回、番組で紹介された半泥子のどの作品も、とても好きだ。
なんとか実物が見たいものだと思っていたら、3月17日から「あべのハルカス美術館」で展覧会が行われるという。
私は今から、その展覧会を楽しみにしている。
(たぶん)茶人であるひらりさん、時間が許せば、あべのハルカスにぜひどうぞ!(時間が合えば、ご一緒してもいいかと‥)
アベノハルカス行って見たくなりました。
ありがとうございます♪