私に感動を与えたもう一人の女性は、羽田空港の清掃を担当する≪新津(にいつ)春子さん≫(44歳)。
新津春子さんのことは、最近のNHK番組・「プロフェッショナル 仕事の流儀 “清掃のスペシャリスト”」で、初めて知った。
彼女は、≪世界一清潔な空港≫として、ここ2年間グランプリに輝いている『羽田空港』で、300人の清掃スタッフを束ねるリー
ダーの一人なのだそうだ。
まず私は、早朝に出勤される彼女の姿を見て、驚いた。
駅に着かれた彼女は、横のエスカレーターには目もくれず、50段以上の階段を、笑顔で勢いよく上がって行かれたのだ。
そして職場に着くと、(カメラを気にして恥ずかしそうにしながら)ダンベルで体操を始められた。
(彼女は、夜と昼にも、同じように筋トレをされているそうだ。)
「仕事をちゃんとするためには、体力が無くっちゃ!」ですって。
ここでもう、ナマケモノの私は、「参りました!」って感じ‥。
彼女は若いころ、「全国ビルクリーニング技能競技会」で、最年少での≪グランプリ≫を獲得された。
そして今や、世界一清潔な羽田空港の、清掃スタッフの中心人物でもあるのだ。
しかし、彼女がこれまでになられるのには、大きな苦難があった。
彼女の父は、中国残留孤児だった。
その父が中国人の母と結婚して生まれたのが、彼女だ。
中国での生活が苦しかった彼女の一家は、彼女が17歳のとき、仕事を求めて日本に来られる。
(17歳の新津さん)
しかし日本に来ても、日本語のできない両親には仕事が見つからず、生活は苦しいまま。
その上彼女は、中国では周囲から「日本に帰れ!」と言われ、日本に来たら来たで、友だちから「中国に帰れ!」と罵られた。
彼女は、自分の存在の意味が分からず、苦しく辛かったと述懐される。
それでも彼女は、家族の生活を支えるために、初めはアルバイトで、夜間の清掃の仕事を始められる。
そんな中で、次第に彼女は、清掃の仕事に面白さを感じられるようになる。
頭も良く努力家でもあった彼女は、清掃に関する知識も技術も、メキメキと上達していかれる。
それが、「ビルクリーニング技能競技会」での≪グランプリ≫にもつながったのだ。
でもこの番組を見て、私が素晴らしいと思ったのは、彼女が技術的に優れた清掃のエキスパートであることだけではない。
彼女が、空港に来るお客さんみんなが、健康で気持ち良く、幸せな気持ちになれることを願って、仕事をされていることだ。
私は、汚れに対する時の、彼女の眼の真剣さと輝きに、心を奪われた。
月に何度かある深夜勤務のとき。
彼女は、日中人がいるとできない所の掃除を、徹底的にされる。
汚れが落ちにくい所は、どんな薬剤・どんな道具を使ってやれば綺麗になるか、徹底的に考え、試みられる。
そして勤務終了の朝までに、なんとか汚れを落とすことができたときの、彼女の清々しい笑顔が、とってもステキだ。
彼女は言われる。
「清掃には技術はもちろん必要だけど、そこに≪優しさ≫がなければダメ!」
「≪心を込める≫ことが大切!」
そして私が、彼女を一番素晴らしいと思ったのは、彼女の下の言葉に代表される、彼女の生きる姿勢だ。
彼女は言われる。
『誰がここを綺麗にしたかは問題じゃない。』
『皆さんが綺麗な所で幸せな気持ちになってもらえることが、何よりも大切!』
日本に来ても差別で苦しみ、ある時は、周囲も自分も呪われたことのある彼女。
その彼女が、仕事を通じて獲得された、人への優しさに満ちた、無欲の心!
私は、彼女の姿に心から感動し、彼女を深く尊敬した。
夜勤を終えて職場をあとにされる彼女に、番組制作の方が、「これから家に帰られて睡眠ですか?」と尋ねた。
それに対して、彼女は笑顔で答えられた。
「家の掃除がちょっとできてないから、1時間くらい掃除して、それから寝ます。」と。
あ~あ、マイッタ、マイッタ!!
何にも仕事をしていなくても、家の掃除がまともにできない、この私‥。
彼女の爪の垢でも煎じて飲まなければいけないナと思いつつ、私のズボラと、彼女の素晴らしさに感動する心とは、また別の次元
のことだとすぐに思い直して、自分を甘やかす私でした‥。
今日も彼女は、みんなが幸せな気持ちになることを願って、無欲で掃除を続けられていることだろう。
そんな彼女がこれからも幸せであることを、いや、これからもっともっと幸せになられることを、私は祈ってやまない。
昨晩前の番組を一部再編成して放映しましたから、さおんさんはそれをご覧になったのでしょうか?
私などとてもとても新美さんのようにはできませんが、彼女の、人間に対する優しさから生まれる辛抱強い生き方に、昨夜もまた感動しました!
人間性にも尊敬
新美さんを心から守りたいと感じる。
清掃の方に対して私の見方が180度変わった。
今までの自分がうしろめたい。
余談ですが新美さんの自宅覗いてみたくなりましたよ*