ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第十回 狩野川能(8/29)

2009-08-05 02:47:31 | 能楽

おっと、今年の夏はシテを続けさまに舞うため準備や稽古に忙しい日々を送っておりまして、すっかり催しの宣伝を忘れていました。

まずは伊豆の国市で開かれる『狩野川能』です!
ぬえが今回舞うのは『望月』! 第十回目となる記念の公演なので大曲を選びました。まさかその大曲に近接してシテを勤める機会が来るとは思っていませんでしたので。。いまは稽古がた~いへん。

とは言っても ぬえは『望月』を勤めるのは初めてではありません。もちろん初演。。ことに こういう大曲の「披キ」であれば、東京の常設能楽堂で勤めるべきなので、2度目であるからこそ仮設舞台での上演も師匠からのお許しを得ることができました。

この『狩野川能』では毎年 子方が活躍する曲を上演するようにして、その子方も伊豆の国市の小学生から選ぶことにしているのですが、当初 ぬえも単純に地元の子どもを相手に『望月』を勤めようと思っていたのですが。。これはとてもアマチュアの速成子方では到底勤めるのは無理なお役でした。この春に チビぬえが『望月』の子方のお役を頂いて、ぬえが稽古をしていたのですが、ここでようやく気づきました。。これは大変だ。。ぬえ、考えが甘かったです。臨機応変が求められる、子方であっても そんな大変なお役でした。

師家の門下の先輩からもアドバイスがあって、今回は チビぬえが子方を勤めて『望月』を上演させて頂くこととなりました。

そんで、もう一つの見どころの曲目が、『狩野川能』名物の「創作子ども能」です。地元に伝わる民話や史実に取材して能の形式を借りた創作舞台を作り上げ、登場人物はすべて地元の小中学生という異例の演目です。お囃子だけは能楽師が勤めるのですが、シテに相当する主役もワキも、そして地謡まで小中学生が勤め、そのために地拍子謡も教えこみました。

これまでの9年間で旧・大仁町の民話に取材した『城山の大蛇』、旧・長岡町にゆかりの伝承をもとにした『江間の小四郎』を、それぞれ少しずつバージョンアップしながら上演してきましたが、今年の創作能の演目は『伊豆の頼朝』。当地韮山に流罪となっていた源頼朝が平家討伐のために挙兵した、その嚆矢の事件を舞台化したもので、台本は ぬえのほか何人かの能楽師が協力して作り上げた、この日が初演の新作です。

あまりブログには記事を書いていませんが、すでに稽古も山場を迎え、最初は頼りなかった子も今では立派にお役を頂いたその責任を果たす自覚をもって稽古に励んでおります。

どうぞお誘い合わせの上ご来場賜りますよう、お願い申し上げます~

第十回 狩野川能

【期日】平成21年8月29日(土) 午後3時30分開演
【ところ】アクシスかつらぎ(伊豆長岡駅よりバス10分)
【番組】
<第一部>連調 『高砂』 謡・ぬえほか、大小鼓・地元小学生
     子ども創作能『伊豆の頼朝』(初演)
     仕舞『吉野天人』『小督』 地元中学生
     連管『破ノ舞』 笛・地元小中学生
<第二部>仕舞 『熊坂』 桑田貴志
     狂言 『瓜盗人』 三宅右近
     能  『望月』 ぬえほか

【入場料】3,000円(全席指定)
【お申込・お問合】伊豆の国市観光協会 TEL055-948-0304
         または ぬえ宛メール