ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

スルメ~ル というものが来ました

2009-08-09 01:29:12 | 能楽

。。伊豆の子どもたちの一人から。。(^^ゞ

ははあ、暑中見舞なんですね~、これ。。ウラを見たら。。マジ スルメでした。(^◇^;)



はあああ~~~。。(*_*)

そういえばこのところ伊豆のお話をあまりしてにゃい。
先月14日には伊豆の国市立・大仁小学校で「古典芸能教室」が催されました。これは狩野川能実行委員会の方々の尽力によって毎年行っているもので、市内全学校の5年生を対象に能の体験授業を行う、というものなのですが、その中で狩野川能で上演される「子ども創作能」も発表されるのです。出演する子どもたちにとっては、本番前にはじめて人前で上演する千載一遇の機会でもあるし、見ている小学生にとっても、身近な同級生が伝統芸能の舞台に登場するのは新鮮な驚きでもありましょう。いや、よくこういう催しを実行するアイデアと実現する政治力? があるものです。実行委員会のみなさん、ありがとう~~(^^)V

まずは出演者の勇姿をご覧下さい~~









毎年狩野川能では小中学生だけによる「子ども創作能」が上演されるのですが、今年は新作の『伊豆の頼朝』を初演します。平治の乱に負けて伊豆の蛭ヶ小島に流罪になった頼朝は、当地の豪族・北条時政の娘・政子を妻に迎え20年余りを伊豆に過ごしていましたが、高倉宮(以仁王)の叛乱と後白河法皇の院宣によって平家打倒のため挙兵しました。まずは平家の伊豆目代・平兼隆を山木館に攻めたのが挙兵のはじめで、やがて壇ノ浦に平家を滅ぼし、ついに鎌倉幕府を開くまでに至ったいわゆる源平合戦の火ぶたはこの伊豆で切られたのであり、その後江戸末期の大政奉還までの670年間に及ぶ武家政治の始まりも当地から始まったのです。

この歴史の1ページを開いた頼朝の山木攻めを能の形式を借りた創作舞台としたのが『伊豆の頼朝』で、台本は ぬえをはじめ数人の狩野川能講師の能楽師で共作しました。ぬえ、意外にこういう作業は好きで、『吾妻鏡』や『平家物語』に きちんと取材して台本を作り上げました。演出にはかなり苦労しましたが、それでも最終的には耳目を驚かす演出も作ることができましたし、子どもたちも ぬえの要求によく応えてくれたと思います。

この「古典芸能教室」ですが、じつは今年は ぬえは出演できないはずだったのです。そもそも狩野川能自体が大倉正之助氏が呼びかけて始まった催しで、まあ大倉さんも忙しいので実質上は 子どもたちの稽古のほとんどは ぬえがつけているのですけれども、その ぬえと大倉さんのスケジュールがどうしても! どうしても今年は合わなくて~(;.;)。 そこで今年の「古典芸能教室」は大倉さんのスケジュールに合わせて行うことになりました。

その日は東京で催しの申合があった ぬえ。遙か遠くから子どもたちが失敗しないように祈っておりましたが。。 あら?? 意外にも、予想外にも東京での申合は早めに終わってしまって。ん~~ん~~~、それならばっ、と ぬえはその場を辞して伊豆にすっ飛んで行きました! (O.O;)

なんとまあ、そうしたら「古典芸能教室」の終わりちかく。。そうして『伊豆の頼朝』の上演の10分前に会場の大仁小学校に到着できました! ぬえの到着には みんなビックリしていたけれど、「がんばれよ~~」と激励をして、そうして、その日はお客さんとして舞台を見ることができました。いや、これは良かった。いつも舞台上に彼らと一緒にいて稽古しているけれども、それでは見えていない部分が見えました。いやもう、舞台を眺める ぬえは「下を見ないで歩けよ。。」「あ、今動いちゃダメ。。」「そうそう。。そこまで堪えて。。いまだ!」とか、(小さい声でだけど)選手にアドバイスを送るセコンド状態でした。(;^_^A アセアセ…

あれよあれよと言う間に、もう本番まで3週間だね~ がんばれ~ みんな~