酒を飲んだらすぐ眠くなる。寝る。夜中に目が覚める。それから朝までのお蒲団の上の時間が長い。やたら長い。これに耐えていなければならない。忍耐力向上の練習をする。ひたすらひたすら。ふふ、無駄にはなっていない。
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白居易(772~846)。字(あざな)は白楽天。中唐の詩人。流麗で平易な彼の文章は、日本の平安朝時代に宮廷でもてはやされた。「長恨歌」「琵琶行」「白氏文集」「新楽府」などが特に親しまれた。
7
我も亦、彼のように美しくやさしくあたたかく風景を見ていたい。美しくやさしくあたたかく、この世の人を見ていたい。できるなら。
白居易の詩が、我を変容しにかかる。
6
江花紅勝火。江花の紅なること火に勝るべし。
大河の川岸に咲いている赤い花はなんだったか、分からないが、分からなくても十分にその赤さが美しくやさしくあたたかく伝わってくる。
5
天才がいてくれると、ものは美しくやさしくあたたかくなる。それから後は、天才でなくても、我のような凡才でも、それが目の中にそう映ってくる。
4
白居易がどんな人だったか詳しくは知らない。知らないが歌っている歌を聞けば、おおよそ見当は付く。いい男だったさ。ものを美しくやさしくあたたかく見ることにかけては、彼はまことに天才だった。そう思う。
3
江南一帯はいいところだよ/江南の風景なら昔からずっと目の中に焼き付いてらあ/朝日が出れば、大河の川岸を埋めるように赤い花が咲き、まるで火が燃えているようになる/そこに春が巡ってくれば、大河の水に川岸の草の影が映って、緑は深々と深くなる/そういう江南をどうして想い出さずにいられよう/
2
江南よろし/風景はもとより嘗て諳んず/日出(い)ずれば江花の紅なること、火に勝(まさ)り、春来れば江水の緑なること、藍の如し/能(よ)く江南を憶(おも)はざらんや
7
酸漿は鬼灯とも書く。茄子科の多年草。葉は卵状で楕円形。球形の液果が嚢を作ってふくらむ。赤く熟する。根は利尿剤となる。咳を鎮める効果もあるらしい。季語では秋。7月の9日10日の両日、東京浅草寺に鬼灯市が立つ。