不潔男のさぶろう。シャワーを浴びるのを怠けている。夜が来たのに。汗を掻いているはずなのに。ベッドにゴロンゴロン。いまは教育テレビでNHK交響楽団の演奏を聴いている。うっとり。ストラビンスキーの曲だ。清潔を保つべしと家内が非難するけど、知らんぷり。でもたしかに汗臭い。ま、いいや。傍に人はいない。一日中、一人の部屋に閉じ籠もっているばかりなんだから。ご飯の時とトイレに行くときとを除けば。
ただでさえ、老人は老人臭を振りまいているだろうから、「より一層清潔を保つべし」は正しいアドバイスに違いない。さぶろうは怠け者の不潔男。人の中には入っていけない。迷惑を掛ける。