肌と肌を合わせていられるようになったのは、進化の過程のいつのころだったのだろうか。素肌と素肌は、二者の間のすべての介在を除去し去ったのである。彼等は直接の合一という体験に進んだのである。それまでは深いざらざらした体毛に覆われていたので、官能という類いの快感は味わえてはいなかった、オスもメスも。長時間、肌と肌を合わせていられるようになって、彼等は深い穏やかな思索に耽って、人類へと脱皮した。そこでなおさらに快感が数段も跳ね上がったのである。そして子どもを産む倍率が格段に上がった。子孫は繁栄を重ねて行った。快感というのは進歩を司っていたとである。それはいまも変わらない。変わらないはずである。
新しい快感は、その後新しく生まれているだろうか。人類のこれからの進化ということを考える。おそらくこのままの、現状維持と言うことにはならないだろう。