昔は親が娘の結婚相手を決めた。選んだ男性によってその運命が決まることが多かったからだ。そのため娘に高等教育を受けさせ、娘を幸せにしてくれるであろう結婚に有利な条件(付加価値)として大学に行かせ満足する親が多かったと思う。そういう親の娘たちの多くはステイタスや安定した生活を得た。医者夫人や社長夫人たちとなった。だが全てそうなったわけではなく、大学を出ても平凡な結婚をし、身辺に存在感を示せなかった女性も多くいるだろう。何様夫人となった人は幸運で、諸事情から不遇に暮している女性は運が悪かったと言えるだろうか。女性の一生を左右する結婚相手の男性の資質も当然であるがそこはお互い賭けのはず。結婚すれば新しい生活環境のもと女性自身の才覚や資質に物を言わせればよい。かつては女性の社会進出は難しい時代であったが故に、親はまず安定した生活環境を娘に整えてやりたかったのだろうが、親にその責務があるとは言えない。
最近ワイフが郷里地区同窓会で講演を頼まれて出かけた。同窓会本部からも役員が参加するという大掛かりな会だったようだが、出席者の多くは医者夫人など裕福な人たちの集まりであったという。親の見た目が間違なかったのだろう。郷里からのワイフの電話に「芝浦卒に嫁いだのは私ぐらいだったのでは?」と冗談を言っていたが、当時四年生大学卒の女子は珍しい時代だったのだから頷ける。もっとも、同窓生の中には現状の生活に満足していなければ同窓会に参加しない、という者もいるだろう。諸事情から参加「できる」あるい「する」のは氷山の一角と見てよいだろう。ワイフの場合、何様夫人…ぶら下がり…でなく、自助努力と海外転勤のチャンスをすかさず捉えてアメリカの大学院で学位を取り、加えて何事にも諦めず挑戦し続ける強い意志力が現在の地位を得た。同窓会参加者に感動と刺激を与えたことだろう。要は彼女の自負心と粘りが彼女を生かし続けてきたと思っている。(自悠人)