USのJ-AngleにNew-Mexico州のホワイトサンドを投稿したので日本の砂丘も比較のため投稿するのも面白かろうと帰郷のついでに寄ってみた。鳥取砂丘は神話、因幡の白ウサギで有名な山陰海岸にあり、山陰海岸国立公園内の一部である。砂丘の延長線上には日本海の荒海によって形成された海食崖、洞門、洞窟、岩礁など海蝕の造形美があり、国立公園の中で荒々しい岩石美を示す海岸と好対象に優美で開放的な砂浜が鳥取砂丘である。地形の起伏の大きさ、風紋、砂廉、すり鉢など東西16キロ、南北2.4キロにおよぶ砂丘で面積は545ヘクタールとその規模はさほど大きくはない。
砂丘は文字通り砂で出来た丘、砂は岩石(鳥取砂丘の場合、花崗岩)が風化し河川によって海に運ばれていくうちに細かく砕け磨かれてできる。海に流れた砂は海から陸へ風や波浪に運搬され、吹き上げられた砂が地上の障害物によって風速が弱められると砂粒が失速して堆積し砂丘ができる。砂丘は生きている。砂丘は生き物のように表情を変え、風紋を描いては消し、消しては描く。時には大きな凹凸を作ることもある。勿論、注意深ければ小動物の生息を見る。不毛に見えて植物も育っている。砂丘はわかりやすい自然の活動だ。生長し、変化し発展して最後は消滅するであろう。まわりの環境が変わるからである。海面の上昇して海岸砂丘が水没したり海面が低下して海岸線が後退することで砂の供給が途絶えるこもあろう。単純に見える砂丘も多くのロマンを想像することで人生になぞらえることが出来る。筆者も人生を思う。
砂丘と言えば,平坦な砂の原を想像しがちだが、実際は起伏が多い。駐車場から正面の木材階段を上がって見える通称馬の背状の小高い丘が砂丘の頂上で、砂丘第二列と呼ばれ高さ47メートル、上るのにひと苦労だが、頂からは砂丘の広がりと雄大な日本海が一望できる。汗をかいた身体に潮風が心地よい。砂丘の西方には、青い水をたたえた多鯰ヶ池が見える。かつては日本海に続いていたが、砂丘によって堰止められてできたもの。周囲3.4キロメートル、日本海海面より16メートルほど水面は高く深さが17メートルもあることからこの池には大蛇が住んでいたとの伝説もある。
砂丘の魅力を堪能するにはやはり歩くに限る。自然が作り出す芸術作品、美しい風紋や砂廉、砂丘独特の動植物など、自らの足で歩くことによってより多彩な表情を見せてくれる。馬の背状の小高い砂の頂を崩さないように新しい足跡を付けながら歩く魅力は格別だ。足元でキュッ、キュと清んだ不思議な音を聞く。砂を踏みつけることによって砂の摩擦で発する音、「鳴き砂」と呼ばれ風情を誘い、夏は清涼感も齎す。
鳥取砂丘だけでは空しいと思う方は国立公園内で岩石で入り組んだリアス式海岸が楽しめる。岩山に点在的に生息する松の緑は筆舌に尽くせぬ天然の芸術である。(自悠人)