旧市街城壁の一角、旧港からロクルム島を訪れた。この日は波が荒く、座席にいる筆者の目の高さでまでうねった。たゆとう小船から振り返る城壁の街はさすが世界遺産に値する威容を見せている。入江の船着き場は波静か。なんとここは楽園、放し飼いの無数の孔雀が羽を扇のごとく広げて筆者と夫を迎えてくれた。オリーブ園を通り抜け、要塞に向かった。シーズンオフゆえ人はまばら、だがシベニクから来たという地元若夫婦が声を掛けてきて一緒に登った。結婚5年、ようやく国内観光が出来るようになったという。要塞は堅固、海に向かって大砲台があり、十字軍の頃を偲ばせた。下りる時は4人でお喋りが弾み、島にただ一軒開いていたカフェで名物の牡蠣を肴にワインで乾杯した。「ナズドラーヴィェ!乾杯!」とカッチンしたワインは今回の旅、最高の味だった。(彩の渦輪)