かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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騙された 暗黙の了解

2008-02-16 | 事例
Jの顔色がさすがに変わりました。
同じ1番の抵当権者の信金と保証協会が競売を掛けて来て居ます。

今回の競売価格は2700万です。
もう今回で3回目、最初は6500万でした。2回目が7掛けの4500万、
今回は何故か6掛けの2700万です。此れならば売れる。
とJの直感です。しかし現金は揃いません。弁護士に何とか
この物件を守りたいと駆け込みました。暫く考えて居た弁護士は
「任せておけ」と胸を叩いて引き受けたのです。
丁度今から5年前の話です。

7軒の地主から借りた土地、其の上に立てた工場と自宅、
元は敷地面積500坪くらいの鉄骨3階でしたがその後建て
増し建て増しで敷地面積だけで800坪くらいあります。
自分の会社ばかりでなく、子会社を2社、10年以上前に
作ったときから、1室を賃貸して居ります。

高速が出来てから誰もこの土地を見向きもしません。
過ってはそれなりきの評価があったこの土地も今は
全く2足3文です。しかし30年以上此処で食品加工をして
居るJには何よりの掛替えの無い土地です。
競売で他人には渡せないと決意していたのです。

弁護士の動きは、Jにはよく解かりませんが、裁判所に
和解を申し立てたみたいです。
やがて次のような和解原案を見せてもらい、Jは了承しました。
 信金も保証協会も競売を取り下げる。
 信金と保証協会は、各々此れを1500万でJに売却する。
 其の支払いは5年間の分割とし、子会社が連帯保証をする。
 5年後は本抵当権は解除する。
 残債務については、当事者間で改めて協議をする。

恐らく今回も売れないと債権者は見ていたと思います。
売れる筈の無い物件です。だから簡単に弁護士の話に
乗ったのでしょう。毎月50万ならば家賃としても安い。
払えるとJは承諾を決意しました。

しかしJに気になったのは、最後の残債務協議の件です。
「大丈夫ですよ。その時になれば信金も保証協会も
請求なんか来ませんよ。信金も保証協会も債権は簡単に
放棄できないから一応こう書いて置くのです。金融業会の
通例ですよ。ほら多額のお金を借りたとき、5年毎、借用書を
書き換えるでしょう。毎月の返済は少なくて、最終回に莫大な
返済となって居ますね。しかし其の通りには実行しなく、
又5年返済にすると言うように黙っていても救済するのが
銀行ですよ。暗黙の了解と言ってもよいでしょう。」
弁護士は言います。

何となく腑に落ちませんが、NOといったところで他に
やりようはありません。裁判所の「正本である。」
と云う和解書を手にしたのです。

5年の歳月はあと2ヶ月です。
Jは協議するという文句が気になって居ます。一方では、
債権放棄と云う暗黙の了解を期待して居ります。
自分から先に話しに行くべきと判断してともに訪問しました。

担保価値は更に落ちて、近くに全く同じような不動産があり、
600万でも競落しなかった実績が最近あります。
Jはこの不動産も600万と自分で勝手に時価を
決めて交渉予定です。其れを又3年分割で払い、
それで全てを打ち切るように依頼する予定でした。

保証協会は言いました。
「今まで払って来ただけ払って貰わないと困ります。
物的担保はなくなったが人的 保証は残っていますから、
当協会はそれを追求させて頂きます。」
信金はもっと挑戦的です。
「勿論今まで以上に払って頂けなければ、当行は折角解除した
不動産を又差押するより他ありません。貴方がどこかに
売却するようなことがありましたら直ちに仮差しをさせて頂きます。」
両方とも協議する気持ちが全然ないみたいです。

一方、今まで、無剰余だからと黙っていた他の銀行が此れを知ると、
直ちに差押をしてくるでしょう。

Jは腹を決めています。
「信金も保証協会も出来ない場合は担保解除して貰い、
 誰かに名義を変えよう。詐害行為と云われたら時に争えばよい。
 其の前に何処かに差押をされたら其処と買戻し交渉しかない。
 ただ現金が揃わないし、価格も600万で承知とするか解からない。
 でもやるだけやって見るさ。」

暗黙のの了解、以心伝心などの言葉。
日本人の人を信頼する良い言葉と思います。
しかし、今は各々が自分に都合の良い方に考えています。

せめて裁判所の和解ぐらいは、こうした禍根を残さない和解を
する様に指導していただきたいと思っています。





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