かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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威信の失墜

2008-02-29 | 事例
「2月末までにはどんなことをしても任売願います。出来なかった
場合は直ちに期限の利益を喪失して競売に入ります。」
倅と同じ年くらいの融資課長がSに言い渡しております。

この銀行の融資額は6000万です。手形切り替えもこの2月末が
限度ですよ。其れまでに返済が出来ないならば、担保の売却を
願います、と1年前から強要されています。
担保を手放す事は何も思っていませんが、残債務の返済を
考えると安く売る気はしません。固定資産税の評価は2500万ですが、
今までの売出価格は3800万で頑張ってきました。

親の代からご当地で機屋、Sはこの辺りでは大御所的存在です。
どの銀行の新年会の時などは、挨拶とか乾杯の音頭に
狩り出されたものです。其れも何年もリスケが続くと何時しか
遠くなって居ました。それでもSに対しては正面から未だ強く
言える銀行は有りません。

しかし最近赴任したF銀行の融資課長は別です。
Sに対しても仕事は仕事と割り切っています。
返済出来ない時は、担保の売却と五月蝿く言います。
最初は冗談っぽく言って居ましたが、最近は真剣みをまして居ます。
支店長とは対等に話せるSも、何時しかこの融資課長の前では
小さくなって居る存在でした。

2500万でも売れるか解からない物件を、残債務の支払いの為に
3800万の価格で売りに出しているSの態度を、融資課長は銀行を
舐めていると受け取ったのです。若いゆえに尚カチンと来ました。
其れゆえに再度年末に、2月末まで売れないと、本当に期限の
利益を直ぐに喪失して競売する事を念押して居ります。
Sも銀行の決意は本物だと信じる様になって居ました。

Sは年が明けてから2500万で処分しようとしました。
2500万ならば右から左に直ぐと思っていたのが売れません。
銀行にも協力をお願いしましたが、銀行は
「そこまで協力は出来ません。貴方の責任で売却願います。」
と断られました。恐らく銀行でも2500万の処分は自信が
無かったと思います。そこで焦り始めました。

競売になると新聞に載ります。
業界情報はSのことならばもっと騒ぐでしょう。
自宅と工場以外の不動産を手放して再起にかけているSには
この新聞情報がたまらなく嫌なのです。
悪い噂でも立つと再起できなくなります。
そこでSは販売を委託している不動産屋に買取を依頼しました。

2月の中旬、どうしても売れないSは斡旋依頼をして居る
不動産屋に買取を依頼しました。
不動産屋は2000万ならば良いと約束しました。
銀行はあっさりこの価格を認めたのです。

実はこの物件の固定資産税評価額では2500万でしたが
土地の評価は1200万です。鉄筋ですが30年たっている
価値のない建物が1300万です。ですから売却になると
1500万でも難しいでしょう。銀行は此れを承知していて
2500万で売却を強要したり、漸く2000万で承認をしたのでしょう。

ところが2月の最終の週はじめ、不動産屋は2000万の話を
断ってきました。1500万ならば考えると言うのです。
つい3-4ヶ月前までは3800で頑張っていた不動産です。
2500万まで価格を下げて更に2000万で漸く承認してもらった
不動産です。Sにはもう融資課長に正直にに言う気がしません。

「話が壊れました。」
「では競売鹿ありませんね。」
未だ3-4日しかたって居りませんが、何の連絡もありません。

1行1担保、保証協会も付いておりません。
しかしこのことは遠からず取引銀行の全てに解かるでしょう。
Sの言うまま、今までは殆ど無条件でリスケの延長を
してきたのが五月蝿くなるでしょう。其れより競売記事が
新聞に載ると本業に対する今後の影響が心配です。

検討していた第2会社の切り替え。
Sははっきり実用性を自覚したのです。全ての銀行が債務名義を
持つまでに第2会社の移行は済ませないとなりません。

威信の失墜したS、しかしやる気になって居ます。





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