かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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正直が災いを招いたのか

2008-02-26 | 事例
女の子がSの留守にR社から電話が有ったことを伝えました。
もう、無いことを祈っていたR社からの電話です。
先週も有ったらしいです。素知らぬ顔をして居ましたが
逃れる術が無さそうです。深呼吸をして電話機を手にしました。

Sは76才、会社は2年前から息子に社長を譲り、
今は会長と云っていますが、此れも次の定時株主総会で
退職しようと決めています。10年前、主体の不動産会社を廃業、
細々と営業していた医療器具の会社に本腰を入れました。
此れが当り、今では当時の何倍かの規模の会社になって居ります。

不動産会社は潰れましたが、医療器具は残りました。息子の意見で、
資金その他完全に不動産と分離していたのが幸いしたのです。

不動産会社の損失は大きかったです。
債権は方々のサービサーに譲渡されました。
妻は破産をしたが自分は頑張り、今ではR社を除いては
全て片付いております。そのR社も3年半前に、不意に銀行を差押、
2500万を持って行かれました。でも其れっきり、音沙汰ありません。
もう終わったと思って居ました。

アポ後会ったR社の担当は結構年配者を思わせました。
「もうそろそろ決着つけませんか。」此れが切り出しでした。
「今の会社は会社年鑑を見ると、高配当のご立派な会社ですね。
それに仕事の輪も広がっていますね。」
どうやらホームページ等調べています。

とどのつまりが、今のSの資産内容と収入とを教えてくれ、
それによって話し合いましょうと云うことです。

Sは迷いました。収入は年収2000万弱です。
夫婦二人、借金も無いから相当余裕があります。
資産は不動産が伊豆にありますが、此れは解からないでしょう。
不動産は此れだけです。預金については、差押の後は日ごろから
徹底的に注意をして居ります。対策は充分とって居り簡単に差押は
出来ないでしょう。

しかし資産は無いで通せますが、現実に2000万の収入があります。
其れと、今の会社に役員退職引当金を6000万、引当てて居ます。

退職金を多く貰うためには、今の給料を維持しないと、
乗数が悪くなり、退職金は少なくなります。
しかも、退職金は退職した年度に貰わないとし、税法では
退職金として認められません。折角の引当が無駄になります。
人生の大金を手にする最後のチャンスです。
是非とも欲しいお金です。

興信所には決算数字は教えています。
R社には黙っていても、R社は決算書を手に入れて、
退職引当額を知っている可能性が有ります。
所得証明を出せば2000万の年収も直ぐ解かります。

R社の残債務が約1億3000万です。このままですと、
その半分以上の額は取られて、自分には何も残りません。
私は何のために76歳まで働いてきたのかと思うとSは悔しく、
悲しくなります。

「5-600万は払っても仕方無い。後は勘弁して欲しい。」
Sは必死です。でも自分で交渉しても自信が有りません。
誰かに依頼したいのです。かっては弁護士も依頼しました。
しかし、サービサーが放棄した額を成功報酬と称して、
高い報酬を要求されて懲りています。和解額よりも弁護士費用の
ほうが高い、この経験から以後弁護士は頼む気はしません。

以前、アドバイスを受けたコンサルタントに依頼しました。
当時的確なアドバイスは随分役立ったものです。
しかしコンサルタントは首を横に振りました。
「Sさん。今はR社は本人以外の交渉には応じません。
ましてや私は何回も行って 居ますから、顔を知っている人と
合わないとは限りません。又ご自分でやリましょう。
応援します。しかし此の話は目茶難しいですよ。どこかで
嘘を言わないと退職金など全部取られてしまします。」
「その嘘が私には言えないです。」

SはR社に出す書類を税理士に依頼し、つい事の次第を
税理士にこぼしたのです。

「会長、此れは私に任せて頂けませんか。大丈夫です。
私何年か前にR社と同じようなことで交渉したことがあります、
随分安くして貰 いました。本件も500万以下で充分話が
付くのではないでしょうか。」

真実味のある税理士の言葉に全てを任せる覚悟をしたのです。

急に差押が有りました。給料と未だ決まって居ない退職金もです。
其れとどう知ったのか給料が振り込まれる銀行の預金です。
ともに1億3000万になるまで差押えるとなって居ます。

税理士は会長の給料や退職金予定など全て正直に喋り、
しかし老後のためのも必要だから此れで認めて欲しいと、
500万の線をだし、固執したらしいです。しかし、R社は
「余裕があるものは全て返済に回してください。」と言う方針です。
物別れにならない筈がありません。
気張った税理士の交渉が最悪の事態を迎えたのです。

正直に言わなくても差押さえは有ったかも知れません。
しかしSは生真面目な税理士に、全てを正直に言うことを
承認した自分に後悔して居ります。

Sは直ちに会社に辞表を出しました。
「体調が悪く任を全うできない」という理由です。
それに退職金も辞退しました。詐害行為になるか判りません。
しかしR社は次の行動を起しておりません。

少なくともSとR社は金輪際和解はないでしょう。
Sは永久にR社の請求から免れません。

今になって自分で交渉すべきだったと後悔しても始まりません。





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