かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

債務名義がある債権の譲渡

2010-02-06 | 事例
M建設の社長が亡くなった時、銀行の生命保険の差押さえは素早かったです。
丁度其の月に手形貸付の期日があり、銀行は書き換えを断りました。
勿論返せる筈が有りません。
其の4日後、今までは銀行も知り抜いている経営者保険が仮差になったのです。

直ちに支払いの訴訟が始まり、債務名義を取られてこの保険金は銀行に取られました。
そしてM建設はサービサーに債権譲渡をされました。

嫁のM子は其れでも商売を続けるために、切り回しに躍起です。
そのM子が恐れていたことは、「サービサーは銀行が取得した債務名義が
そのまま使えるだろうか。」と言うことでした。

サービサーが銀行が取得した債務名義をそのまま使えるとすると、
不意に来られればM建設はひとたまりありません。
しかしそれが使えなくて新たに取らないと差押さえが出来ない場合は、
訴訟から3ヶ月は掛かるでしょうから売掛金にも手は打てます。

古くから付き合っている弁護士は「勿論出来ます。」と自信を持って答えます。
でも、保険差押さえの時に依頼した弁護士は、なんとなく言葉を濁します。
「直ちに出来る」と明快ではありません。いきなり差押さえが出来るのと、
訴訟をしなければ出来ないのでは、やられるほうは随分違います。

本やインターネットを調べても、売掛金の承継執行について
述べているものが見つかりません。

M子は思い切って裁判所に聞いてみる事にしました。
「債務名義の付いた債権を譲渡してもらったときに
 そのまま差押さえを執行できますか。」
簡単な質問です。

ところがこの答えが裁判所でも簡単に出ませんでした。
最初にかけた、執行部門野担当者は電話口で考え込みました。
暫くしてかえってきた返事は、「当部署ではそのような質問を
受けたことがありません。したがってお答えできませんが、
債務名義を発行した部門ならば解りますからそちらに電話を回します。」
と言うのが答えでした。

一旦電話を切り、銀行と争った時の部署に電話をしました。
「本日は私の名前を言うのは勘弁してください。」と言う前置きで
質問をしたのです。

「債権者や債務者が債務名義と違っている場合は、
 新たな執行分付与文をつけないとなりません。
 ただしこの付与文は、与えてもよいかどうか裁判所で調べます。
 その時に必要な書類を出して頂きます。単に内容証明で売掛金譲渡の
 通知を出して、其の配達証明があるからと言って、それが直ちに
 執行文付与になるとは限りません。それ以上の事はあなたが実際に
 申請して頂かないとお答えしかねます。」

どうやら無条件に売掛金の譲渡に債務名義は、付いていくものでは
ないらしいと云う事は解りましたがそれ以上は解りません。
「しかし銀行とサービサーの間だ。裁判所は無条件認めるだろう。
 用心をするのに越したことが無い。」
M子はサービサーに直ちに使える債務名義があるという気持ちで、
日々の業務を続けて居りました。相当実務に影響したことは事実です。

一方サービサーは結構厳しく、M建設をせめて来ます。
和解金額は200万と1200万、それ以上縮まりません。

交渉は途切れ途切れに2年続きました。しかし解決の兆しは見えません。
ついにサービサーは「もうこれ以上交渉は無駄でしょう。
法的回収に移らせて頂きます。」と最後の通告です。

「差押さえがあるな」
しかし、裁判所から届いた書類は差押さえ通知でなく、売掛金支払いに
対する訴状でした。債務名義を持っている筈なのに、もう1度取る積もりでしょうか。
其の通りでした。サービサーは、今まで債務名義はもっていなかった様子です。

裁判は、勿論負けで新たに債務名義が渡りました。
しかし今までそれを想定してきて居りますから、何時差押さえがあっても平気です。

唯、M子には債務名義がある筈のところが、何故また裁判をやったのか
どうしても解りません。

「裁判所は執行付与文を出す前に、債務者に差押さえ者が変わったことを
 返答つきの連絡をするのさ。其の返答があってから初めて執行付与文も
 発行できるのさ」
ある人が教えてくれたときに漸く今までの疑問が解けました。
もう無いでしょうが、今度こうした例にぶっつかると手は打てます。
留守で裁判所の通知が受け取れない場合はサービサーに債務名義は渡らないです。

其れにしても何故、こうした債務者が最も知りたいことを書いた本や
インターネットで見つからないのでしょうか。債務者にとっては自分を
守ることでも、論議してはいけないことかも知れません。





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