破産に追い込まれた自宅の買戻し

今から１５年前、彼は自分の田舎に最高の自宅を建てました。
地方の中堅都市から更に３０分車で山間に入った場所です。も３０戸しか有りません。
故郷に錦かの積もりか、其処に途轍もない豪邸を作りました。
整地代も入りますが、建築費用は当時で２億4000万懸かりました。

田舎だから大した物です。家の中さえ自動ドアと云う始末。彼は得意の絶頂でした。
市内に自宅も有りますが此処から会社に通ったものです。

こんな彼が、もう一つ、人の度肝を抜いたことが有ります。
それは日本の2台しかない、クラシックのスーパーカーの購入です。
専門誌にも取り上げられました。購入費は当時で1600万。
週末其れを近くの都会と結ぶ国道を走らすのが彼の夢でしたが実現させたのです。

ローンの1回目も払わないうちに彼の会社の危機です。
彼は何がどうなっても良い。折角の自宅は守り抜く決意です。

市内の自宅も銀行の担保です。足りません。
銀行は彼の高級車の行方を捜しましたが見つかりません。
仕方なく家だけ競売です。

どんなことをしても守りたいのです。
考えられる悪知恵は全て実行しました。
庭に造作物を作ったり、家の1部を従姉妹人に貸せたりです。
でもそんな妨害は、妨害には成りません。競売に成りました。
9600万です。
彼は直ぐに落札されると、震えが止まりません。

「この場所で、こんな物件、売れないよ。黙って見過ごして居なさい。
　1回目は流れて3割安くなって、2回目の競売が半年先に有るから、
　その時に買い戻しなさい。尤も、それでも売れないら、もう一度、見逃した方が良いかもね。」
教えてくれれた人が居ます。

今では手も出ませんが3割下がれば6700万です。
彼のスーパーカー、6000万で欲しがっている人も居ました。
不足分は個人の借金でどうにかなるでしょう。

娘の名前で買い戻しました。
ノンバンクに僅かな借金が生じたましたが、もう2億4000万の抵当は着いていませせん。

世の中の不景気は進む一方です。
仕事からの収入は当てに出来なくなりました。持ち出さないのが背一杯です。
此処に来て、彼は重大の事に気付いたのです。
この豪邸は飛んでも無い金食い虫でした。

先ず固定資産税がべらぼうです。
維持費も普通の額では有りません。全て電気が働いています。
自動ドアでエレベーターで2階に挙がっても、税金も合わせ、
月に80万の維持費は払えるものでは有りません。
そのくせ、メリットは何もない田舎です。

其処と合いまり、今度は税務署から名義人の娘の所得の調査です。
スーパーカーの売買代金は娘でなく彼です。
贈与と判断されらのです。

彼は、遂にこの家を手放す事を覚悟しました。
ところが今の買値から更に3割下げた4700万でも買い手が有りません。
価格の如何に関わらず、コンビに一つない、医者や学校も有りません。
そんな場所の家、80万の維持費が0に成っても買う人は居ないでしょう。

市内に戻ろうと思って、この家は競売になっています。
自己破産もちらつき始めました。

考えずに、見栄で作った自宅、結局は跡で困ります。


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